「ほけんの窓口レディース」の最終日、ささきしょうことの3ホールに渡るプレーオフを制し今季初優勝(通算2勝目)を挙げた大里桃子。荒天のため2日間に短縮され混戦になった最終日の模様をプロゴルファー・中村修がレポート。

3週連続の優勝争いから今季初優勝をもぎ取った

2週前の「パナソニックオープンレディース」、先週の「ワールドレディスサロンパスカップ」と現地取材の機会に恵まれましたが、大里桃子選手はその2試合を2位と2位タイで終え、今週に臨んでいました。

優勝会見では開口一番「三度目の正直ができました。めっちゃ嬉しい!」と笑顔を弾けさせていました。2位、2位タイ、優勝という結果もすごいですし、調子を維持し、集中力を切らさなかった精神力も素晴らしいものがあります。

画像: ツアー2勝目を挙げた大里桃子(写真は2021年の「ほけんの窓口レディース」 写真/大澤進二)

ツアー2勝目を挙げた大里桃子(写真は2021年の「ほけんの窓口レディース」 写真/大澤進二)

とはいえ、今大会もラクな展開ではありませんでした。プレーオフを戦ったささきしょうこ選手は2019年にシード権を手放しましたが、QTランキング32位、前線終了後に行われたリランキング30位と自力で出場権を獲得して復活を期するツアー3勝の実力者です。

そしてもう一人忘れてはならないのが、2日間36ホールに短縮された中で、最終ホールまで優勝争いを続けた吉田優利選手です。古江彩佳、西村優菜選手らと同じ2000年度生まれのプラチナ世代に属し、2018年の日本女子アマを制した実力者です。

見応えがあったのは大里、吉田両選手が同スコアで並んで迎えた18番パー5。2打目を刻んだ吉田選手に対して、ドライバーで飛距離を稼いだ大里選手は、残りエッジまで235ヤード、ピンまで255ヤードの2打目で3Wを持ち、会心の当たりでグリーンをとらえるも、奥のバンカーにつかまります。

そして、3打目勝負の吉田選手もピンに突っ込みすぎて大里選手と同じバンカーにつかまります。惜しくも入りませんでしたが、バンカーからチップインを狙い、最後まで攻めの姿勢を崩さなかった吉田選手のプレーは素晴らしく、次週以降の活躍を期待させるだけの気迫を感じさせました。そして、フォロー風ではありましたが打ち上げの235ヤードをキャリーで乗せてくる大里選手のポテンシャルにも改めて驚かされました。

結局、プレーオフでの勝利を手繰り寄せたのもそのロングショットの威力。ピンが手前に切り直された3度目の18番ホール、3打目勝負のささき選手に対して、大里選手は5Wでピン横約5メートルにつけるスーパーショットを放ってバーディを奪い、「三度目の正直」を自らつかみました。

好調の理由は、オフにスウィングを改造しショットに自信を持てるようになったこと、イップス気味だったパッティングにも改善が見られ「今週はいままで悩んできたパターに救われたホールもたくさんあった」と会見で話しました。

画像: 36インチのパターを投入するなど工夫し、ツアー2勝目を挙げた(写真は2021年の「ほけんの窓口レディース」 写真/大澤進二)

36インチのパターを投入するなど工夫し、ツアー2勝目を挙げた(写真は2021年の「ほけんの窓口レディース」 写真/大澤進二)

この好調の背景には、オフに行ったスウィング改造の成果があるようです。データを見ると、2019年の237.35ヤードから244.55ヤードへと飛距離を伸ばし、38位だったパーオン率も13位へとランクアップしています。

そして、スタッツにはまだ大きくは表れていませんが6試合前の「ヤマハレディースオープン葛城」から投入した36インチのパター、そして様々な工夫によりパットの不調を改善し、直近3試合の平均パット数は28.19と復調しています。

2018年の「CATレディース」で初優勝を挙げますが、その年の最終戦からパットの不調に苦しんでいたという大里選手。

パットの不調を様々な工夫で克服し、結果を残せたことで、同じようにパットに苦しむ選手にとっても明るいニュースを届けられたと思いますし、苦しみながらもチャレンジし続けることの大切さを教えてもらった22歳の優勝でした。

「前年の成績を上回ることが目標」と掲げる大里選手。2位、2位タイ、優勝ときた次戦はどんな活躍を見せてくれるでしょうか。楽しみです。

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