マスターズを制した松山英樹や、全英女子オープンを制した渋野日向子のような世界で活躍するゴルファーに、我が子にもなってもらいたい……! そう願う親は少なくないはずだが、ジュニアゴルファーを育てるのは簡単ではない。子どもを伸ばすために親ができることはなにかを、プロゴルファー・石井忍に聞いてみた。

子どもを競技で活躍するジュニアゴルファーにしたい。そう思ったら、信頼できる指導者に指導してもらうのがもちろん近道。だが、どのコーチに任せればいいかがわからない、近くにいないなどといった理由で、親が子どもを指導するケースも多い。

ジュニアゴルファーも指導するプロゴルファー・石井忍は、そのようなケースで多い「まずは自由に振ってごらん」という教え方を長期にわたり継続し続けることはオススメできる方法でないと言う。

「子どもの個性を伸ばすため、自由に振らせることはもちろん大事ですが、個性とは基礎を身につけてこそ成り立つものです。クセがない時期にある程度の基礎は身につけていくことが大事です。原理原則やクラブの動かし方からはみ出るものは個性ではなく、ただの悪いクセになってしまいますから」

アドレスや、トップでの手の甲の角度、切り返し直前の左サイドへ踏み込み、前傾角度を維持するために腰を落とす動作などの「基礎」を、ゴルフを始めたばかりのころに身につけることで、体の使い方や力を出すときの順番がスムーズにできるようになる。その上で自由に振らせて個性が出てくるのはいいと石井は言う。

まずは基礎をしっかりと身につけること。その上で大切なのは、「しっかりとコースとリンクした練習ができているか」だという。

画像: 子どもを正しく導くには、どんな練習をすべき?

子どもを正しく導くには、どんな練習をすべき?

「たとえ練習場であっても、しっかりとターゲットを狙ったり、緊張感を持った練習ができている状態が、コースとリンクした状態です。それに対して、片手打ちやハーフショットなどのドリルや、ひたすらボールを打つだけの練習といった、コースとセパレートされた状態だけでは、練習の質が上がりません」(石井)

石井は、コースとセパレートされた状態で気持ちよくボールを打つ練習を「コンフォートゾーン」と表現する。居心地のいい場所に居続けてしまっては、思うような成長曲線は描けない可能性があるというわけだ。基礎ができたら、次は応用だ。

「親御さんはお子さんがある程度振れるようになってきたら『100ヤードの看板の右を狙ってごらん』というように、1球ごとに条件をつけてあげるといいと思います。コースでは当たり前のことですが、普段の練習からターゲットを意識していないと、試合でプレッシャーがかかりますから。練習のときにいかに条件をつけるか、コンフォートゾーンから抜けたところにいけるかどうかが質の高い練習をするための鍵になります」

そして最後に大切なこととして「評価のタームを短くしないこと」が大事だという。

「たとえばこの試合がダメだった、良かったというように一喜一憂しないこと。(一流選手になるための累積練習時間の目安と言われる)1万時間先を目指していけたら、自ずといい結果がついてくるはずです」

目の前の試合、目の前のスコア、目の前の1打ではなく、1万時間という先を見据えて子どもに寄り添う。それがもっとも大切なことのようだ。

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