近年プロたちの使用ギアで度々話題に挙がるのがパターのシャフト。それも、カーボン製のパターシャフトを使用している選手がじわじわと増え始めているのだ。そもそもカーボンパターシャフトにはどういったメリットがあるのか、国内外の最新ゴルフギアに精通するプロゴルファー・堀口宜篤に教えてもらおう。

近年PGAツアーで際立った存在感を放っているのが、海外のシャフトメーカー「LAゴルフ」の手掛けるカーボンパターシャフト。ブライソン・デシャンボー、リッキー・ファウラー、ケビン・ナらは2021年以前から使用。

今年4月には現在世界ランク1位のダスティン・ジョンソンもパターヘッドとともにシャフトを同社製モデルにチェンジ。全米プロゴルフ選手権時には以前のモデルに戻していたようだが、果たして本格的にスイッチとなるか注目したいところ。また、松山英樹も昨年実戦投入していた時期もあった。

画像: ダスティン・ジョンソンもLAゴルフのカーボンパターシャフト「TPZ135」を装着したニューパターを4月に実践投入している(写真/Getty Images)

ダスティン・ジョンソンもLAゴルフのカーボンパターシャフト「TPZ135」を装着したニューパターを4月に実践投入している(写真/Getty Images)

まだ日本のアマチュアにとってLAゴルフは馴染みが薄いかもしれないが、大手カスタムシャフトメーカーも以前からカーボンパターシャフト開発に着手している。国内では2017年に三菱ケミカル「ディアマナパター」が発売。それ以前より国内男子ツアーでは池田勇太が同モデルのプロトタイプを使用し話題となった。

2017年にはフジクラ「MCパター」も登場し、当時葭葉ルミが実戦投入。MCパターは2021年4月には2代目が発売となり、国内女子ツアーで活躍する有村智恵、永峰咲希らが使用している。

パターと言えばスチールシャフトが一般的というイメージがあるが、そもそもカーボンシャフトを採用するメリットはどこにあるのか。国内外の最新ゴルフギアに精通するプロゴルファー・堀口宜篤は「スチールシャフト以上に硬さ・重量を出せる点」を理由に挙げる。

「一昔前まではスチール=硬くてしっかりしている、カーボン=軽くて軟らかいので頼りなさがある、といったイメージがあったと思います。が、現在は製造技術の進化によってカーボン素材のほうが、スチール以上に硬く重く設計することができるんです」(堀口)

スチールでは実現できないくらい硬・重設計にすることでトルクが減少。結果、手元の動きが安定しストローク時のヘッドのブレも少なくなり「余計な挙動が入りづらく、より自分のストロークでヘッドを管理しやすくなるんです」と堀口は説明する。

実際堀口自身、スコッティキャメロンのパターにLAゴルフのカーボンシャフトを装着したカスタムパターを所有しているそうだが、ストローク時のシャフトのしっかり感に加えて「非常に球の転がりが良いし、打感も変わる」という。

「ヘッドの素材やインサートの有無にもよりますが、カーボンシャフトのほうが手に伝わる感触がマイルドになり、同じヘッドでも打感が柔らかくなる印象です。ボールにインパクトした瞬間の衝撃を和らげてくれているように感じますね」(堀口)

ただ、ゴルファーによってパットスタイルは十人十色。「もちろん重量と硬さをスチール以上に調整でき、幅広いゴルファーに対応できる設計自由度の高さがカーボンにはありますが、硬・重カーボンパターシャフトに関して言えば、ある程度しなりを感じながらパッティングしたい方やインパクト時の手元へのフィードバックが欲しい方の場合相性が良くないかもしれません」という。

また、例えばドライバーでカスタムシャフトに替えた際の、飛距離アップや曲がりの減少など目に見える効果と比べて、パッティングは「『カーボンシャフトに替えて明確に以前より結果が良くなった』という実感が得られづらい点」が、アマチュアがイマイチ手を出しづらい原因になっているのではないかと堀口は指摘する。

ともあれ、プロの間でカーボンパターシャフトが流行の兆しを見せているのは事実。今後本格的に流行りの波が訪れれば、近い将来パターのシャフト選びに迷うことになるかも!?

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