7年前、11歳8カ月19日の若さで全米女子オープン予選会を突破し史上最年少出場を果たしたルーシー・リー。彼女が再びメジャーの舞台に立つ。ツインテールのおさげ髪でアイスを食べながら会見場に登場し話題を振りまいた彼女も18歳。歴史を作った少女の現在とは?

2014年の全米女子オープンは史上はじめて男子の全米オープンと同じパインハーストNo.2で行われ(女子の翌週男子の競技を開催)、元祖天才少女ミッシェル・ウィが悲願のメジャー優勝を果たした。

そのとき大きな話題をさらったのが予選会を勝ち上がり最年少で最高峰のメジャーに出場したリー。前年に10歳で全米女子アマに出場しすでに話題になっていたが、全米女子オープンの初日に78をマークしたあと大勢の記者が待ち構えるなか左手に鮮やかなピンク色のアイスクリームを持ち、それを食べながら会見に挑んだ少女に大人たちは度肝を抜かれた。

「今日はこれからなにをするつもり?」と尋ねられ「もっとアイスクリームを食べるわ」と答える大物ぶり。結局予選落ちに終わったが、星条旗をイメージした赤、青、白のウェアとおさげ髪、ピンクのアイスというゴルフ史に残る小学生による会見の模様はその後長くメディアの語り草になった。

「振り返ると本当にクレイジーでしたね。あの日アイスを食べていた私はどうしようもなくのん気で、その場にいるのが楽しくて仕方なかった気がします。いったい自分がどんな状況に置かれ、なにをすべきかなんて全く理解していなかった」(リー)

画像: ルーシー・リーの11歳8カ月19日での全米女子オープン最年少出場記録は未だ破られていない(写真は2014年の全米女子オープン 撮影/南しずか)

ルーシー・リーの11歳8カ月19日での全米女子オープン最年少出場記録は未だ破られていない(写真は2014年の全米女子オープン 撮影/南しずか)

当時はアメリカの有名テレビ番組「グッドモーニングアメリカ」から出演のオファーを受けるほど注目度は高かった。

自身も13歳で全米女子オープンに出場経験を持ちその後メジャーチャンピンになったモーガン・プレッセルは11歳の少女との出会いを鮮明に覚えているという。「彼女を見て思ったわ。私もあの頃はこんなに小さかったの、ってね(笑)。彼女が発散する若々しいエネルギーや情熱、心から楽しんでいる様子が素晴らしかったし刺激を受けました」

そして今年18歳になったリーはカリフォルニアの自宅からほど近いオリンピッククラブで今週開催される全米女子オープンの地区予選をクリアし再びメジャーの舞台に立つ。

じつは彼女のアマチュアとしてのキャリアは思わぬ形で幕を閉じた。2019年にアップルウォッチのCMにノーギャラで出演した際、アマチュア規定に反するとしてUSGA(全米ゴルフ協会)から警告を受けプロ転向を決意。2020年から下部ツアー(シンメトラツアー)でプレーしているがいまのところ目立った戦績はない。

「(地元の)オリンピッククラブで全米女子オープンが開催されると知ったときから絶対に出たいと思っていました」というリー。念願叶って出場権は手に入れたが18歳になった彼女はもう特別扱いされることはない。今回はその他大勢のひとりとしてナショナルオープンに挑むことになる。“アイスクリーム少女”はいま過去ではなく未来を見ている。

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