3番、4番、6番、8番アイアンを抜いて19度UTを入れた
プロゴルファーにとって、14本のクラブで試合に臨むのは常識中の常識。そんななか、3番、4番、6番、8番アイアンを抜き、その代わりに19度のユーティリティを追加した11本セッティングで優勝したパグンサン。
当然ながらいわゆる“飛距離の階段”の一段あたりの段差は高くなり、距離の打ち分けが難しくなるはずだが、「アマチュアにはメリットが生じる」とクラブフィッターでスウィングコーチの関浩太郎は語る。
「クラブの本数が少ないということは、そのぶん選択肢が少なくなるということ。結果、クラブ選択の迷いが減り、スウィングの迷いも減ります。それと、本数が減る分、ひとつのクラブに対して練習する量も増えるという効果もあります。そのため、アマチュアゴルファーにとってクラブの本数を減らすことはスウィング上達やスコアアップにつながる可能性があるんです」
14本でプレーしていても、1ラウンド終わってみたら“一度も使っていないクラブ”が少なくても1、2本はあるはず。また、ナイスショットよりもミスショットの確率のほうが高いクラブも入ってはいないだろうか。あらかじめそれらをバッグから抜いておくことで、迷いなくプレーできるというわけだ。
では、抜くといってもなにを抜くべきなのか。関は、パグンサンのようにアイアンの番手を“中抜き”するのはオススメではないとこう言う。
「アイアンの番手を間引くのは、距離のコントロールができるプロならでは。オススメはフェアウェイウッド(FW)を抜いてみることです。どのメーカーも同じくらいのロフト角のフェアウェイウッドとユーティリティではユーティリティのほうが約1.5~2インチ短く作られています。アイアンは1番手小さくなるにつれて半インチ短くなりますから、同じロフトのFWとUTを比較すれば、アイアンでいう3番手以上もやさしいクラブだということになります。だからこそ、フェアウェイウッドを抜き、ドライバーの下の番手はユーティリティというセッティングのほうがミスも減り、スコアメイクにつながります」
たとえば、ドライバー、3番ウッド、5番ウッド、7番ウッドと入れ、その下に21〜23度くらいのユーティリティを入れているとしたら、「思い切ってフェアウェイウッド3本をすべて抜いた11本でプレーすることで、なにかスコアアップのきっかけをつかめるかもしれません」とのことだ。
関はさらに大胆に、「100切りを目指しているゴルファーなら5本でプレーするのも効果的」という。
「100切りを目指すならユーティリティ、8番アイアン、ピッチングウェッジ、サンドウェッジ、パターの5本で十分だと思います。なるべくやさしく、ミスの少ないクラブだけを使ったほうがスコアメイクは絶対にラクですから」
初心者からプロまで、バッグの中身は14本と決まっているように感じるが、実際は14本使いこなせていないというケースは多いし、実際に日本ツアーで10年勝利のなかったプロが11本にした途端に勝利という結果を出してもいる。
クラブを減らしてのプレー、マンネリスコアの打破のきっかけとなるかもしれない。
撮影/有原裕晶