「夕方ごろ、たまにゴルフ場を散歩したり、何ホールか回ったりするんです。そういうときに隣のホールのグリーンまでここから何ヤードかなとか、隣のホールとの間の崖は何ヤードで越えるのだろうかっていう妄想が生まれるんです。そこから、『本来のレイアウト以外でプレーできたら面白いんじゃないの』と思ったことが今回の『クロスカントリーゴルフ』イベントを実施したきっかけです」
そう語るのは、マグレガーCCを運営するマグレガーゴルフジャパンの松下健氏。自身がトップアマでもあり、ゴルフ場でのキャンプイベント、野鳥観察イベントを企画するなど、「ゴルフ場を遊び尽くす」名人として知られる人物だ。
松下氏がコースを何度も下見して1か月ほど考えた“裏マグレガーCC”は7ホールで全長2805ヤードのパー30。具体的にどんなコースレイアウトになったのだろうか?
「隣や、隣の隣のホールに打っていったり、崖、林越えなど、色々なホールを作りました。それと2ホールくらいはグリーンサイドにティイングエリアを作って、本来のティイングエリアまで進んで行ってその前のホールのグリーンでホールアウトするようなホールも作りました。マグレガーCCはアップダウンがあって難しいコースですが、余計に難しくなりましたね(笑)」
もちろん“裏マグレガーCC”でのプレーは、コースが無人にならないと始めることができない。さらに裏レイアウトだけに「どこに打っていいのか分からなくなる」ため、安全面への配慮からも松下氏が、集まった14人の参加者全員を案内する必要がある。そのため、プレースタイルなども工夫したものの、結局ボール探しに時間がかかり、4ホールしか消化できずに日没を迎えてしまったようだ。
しかし、「通常のレイアウト以外でプレーしたら楽しいかも」という予想は的中し、参加者たちからは「またやりたい」という声が挙がったという。もともとスコアは関係なく、いつもとは違うプレーを楽しむのが趣旨。消化できたホール数は問題ではなかったのだろう。
「260ヤードを1オンしたりとか、超スーパーショットが出たりもしていましたね。崖越えや林越えなど、通常はトラブルにならないと打たないショットを“裏ルート”では要求されるからこそ、いつもはやらないギャンブル球でゴルフを楽しむことができるんです」
2019年に開催されたPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」ではバッバ・ワトソンやジョーダン・スピースが通常のレイアウト通りではなく、試合では使われていないホールに向かってティショットを放ったことが注目されたが、“裏マグレガーCC”はそんなプロならではのマネジメントを擬似体験することができたという。
イベント終了後、希望者はコース内にテントを設営し、天体観測を楽しんだという参加者たち。もちろん、すべてコースが許可し、安全面が保証されていなければできないイベントの数々だが、ゴルフ場にはただプレーする以外にもこんな楽しみ方がある!と思うと、なんだかワクワクしてはこないだろうか。
写真提供/松下健