池越えのパー3では放ったティショットが目の前にある池へ吸い込まれるように打ち込んでしまう初心者ゴルファーは少なくない。そんなゴルファーたちがスムーズにプレーできるための日本特有のローカルルールが「前(まえ)3(または『プレ3』)」だ。
パー3だけに設定されているというわけではなく、OBではない池や崖に打ち込んでしまった際の救済として、特設ティから3打目として打ち直すことができるケースがある。ちなみにOBの場合はたとえパー3でも「前4」が設定されているゴルフ場もある。
さて、初心者ゴルファーにとってはありがたい救済となる「前3」だが、グリーンのすぐそばにあるわりに意外とミスが出やすい。そして、前3からミスをしてしまうと、ダボ以上は確定だ。なんとか乗せて2パットのダブルボギーで切り抜けるにはどうしたらいいのだろうか?
プロゴルファー・兼濱開人は「球を無理に上げようとせず、基本的には“転がし”をベースで考えましょう」という。
「グリーンがすぐそこだからと、サンドウェッジを選ぶケースが多くありますが、サンドウェッジはバンカーショットに特化しているため、もっともロフトが寝ているクラブで、実はアプローチに使う難易度は高いんです。なので、まずはパター、次に7番アイアンが使えないかを考えてみてください。両方ともロフトが立っているため、ボールにコンタクトしやすいですから」
乗る、寄る、の前に、初心者の場合はボールに当てることが先決。ミスヒットの少なさでいえば、パターとサンドウェッジでは比較にならないほど、パターのほうがやさしいのだ。
その上で打つときは「パターを選択しても、必ずティアップをしましょう」と兼濱。
「短いクラブでティアップする感覚はあまりないと思いますが、特設ティはバンカーに近いような悪条件になっている可能性が高いです。そのためティアップをしてあげたほうが精神的にもラクになりますし、打ちやすいと思いますよ」
また前3から打ち直しする際は池や崖に打ち込んでしまったことに対しての後悔や次打への不安を抱えやすい。そのため「テクニックよりもメンタル面が試される」と兼濱はいうが、少しでも不安を取り除くにはどうしたらいいのだろうか?
「たとえば、自分だけが池や崖に打ち込んでしまい、同伴者たちはグリーンに乗っていたとしましょう。このときに『なんで池ポチャしたんだろう』『早く打たなきゃ』と自分を責めるのではなく『自分は動揺している』と今の精神状態を認めてあげることが大事。そうすることで少し冷静になれて無理な選択はしなくなるはずですから」
まとめると、転がしをベースにクラブ選択し、必ずティアップ。ミスした自分を責めるのではなく、今の精神状態を認めることがお助け措置である前3からの大叩きしないためのコツだ。いざというときのためにしっかりと覚えておこう!