フィル・ミケルソン、ブライソン・デシャンボーと、ドライバーでの飛距離アップを追求してきたPGAツアーのトッププロたちが、“ミニドライバー”をバッグに入れている。これはアマチュアにも採用するメリットはある? 業界屈指のギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人に話を聞いた。

テーラーメイド「オリジナルワン」というロフト11.5度、ヘッド体積275ccのミニドライバーを採用し、海外メジャー「全米プロゴルフ選手権」を制したことで話題となったフィル・ミケルソン。

画像: 全米プロに続き、翌週開催の「チャールズ・シュワブチャレンジ」でもオリジナルワンドライバー入りのセッティングを使用したフィル・ミケルソン(写真/Getty Images)

全米プロに続き、翌週開催の「チャールズ・シュワブチャレンジ」でもオリジナルワンドライバー入りのセッティングを使用したフィル・ミケルソン(写真/Getty Images)

同じくPGAツアーで活躍し、その圧倒的な飛距離が度々話題に挙がるブライソン・デシャンボーも、「コブラ ラッドスピードビッグツアー」をベースにソール部にレールを接着するなど数々のカスタマイズを施した「コブラ キングプロトタイプB」というロフト10.5度のフェアウェイウッド(以下FW)を使い始めている。

プロのレベルでは、3番ウッド(スプーン)よりもロフトを立たせたミニドライバーの流行の兆しが見て取れるのだ(デシャンボーのFWに関してはドライバー並みだが)。

そもそも1番ウッド=ドライバーの次に飛ぶ番手としては2番ウッド=ブラッシーだが、そのぶんクラブ長が長くロフトが立っていることで扱いが難しく、近年では市販されているFWはそのほとんどが3番からのラインナップとなっていた。

そんな2番ウッド相当のミニドライバーを両者がバッグインする理由は「もちろん飛距離がもっと欲しい、という部分は大きいでしょう」と業界屈指のギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人は言う。

「PGAツアーの総距離の長いコース設定で戦うプロたちは、ロフトをかなり立たせた長尺ドライバーでティショットを打ったうえで、セカンドでもさらに距離を出すことが求められています。それに対応するため、ロフトの立ったミニドライバーを採用し、ランを出してトータル飛距離を伸ばすという考えは自然と言えます。もちろん、ドライバーとの飛距離の階段の兼ね合いもあるでしょうね」(小倉氏、以下同)

2番ウッド相当のクラブとは言っても、両者とも2番ウッドとして作られた過去のモデルではなく、比較的新しいモデルを代用していることがポイント。「そもそもPGAツアー選手たちが、ドライバーを長尺仕様にしたりロフトを立たせて飛距離を追求できる理由って、それでも曲がりづらく、つかまえられて、スピン量を抑えられるくらいヘッドが進化していることが根底にあるんです。それはミケルソンが採用したオリジナルワン、デシャンボーのプロトタイプモデルにも言えることでしょう」

実は、そう語る小倉氏自身、ミニドライバーではないもののマスダゴルフの「FBLチタン フェアウェイウッド」というロフト13.5度のモデルを使用しており、「ほぼブラッシーみたいなロフト設定ですが、重心が低く設計されているので球は上がるし飛距離も出るし、昔のようなブラッシー=難しいクラブというイメージはないです」と語る。クラブが進化したことで、ロフトの立ったフェアウェイウッド≒ミニドライバーの使いやすさが増しているということだ。

ミケルソンがミニドライバーを採用してメジャー制覇を果たしたことで「プロの間での流行は今後十分あり得る」とする小倉氏だが、一方でアマチュアにとっても「万人受けするわけではないですが、飛距離の面以外でも採用するメリットはありますよ」という。

「ロフトが立っているぶん一般的な3番ウッドよりつかまりやすさが減少するわけで、これはデメリットとも取れますが、裏を返せば『左に行かないクラブ』とも言えます(右利きの場合)。ピンポイントではありますが、セカンドで左方向には絶対に飛ばしたくないという状況では役立ちますよ」

さらに「ドライバーに比べてヘッド自体は小さいものの、クラブ長が短いおかげでボールをとらえやすいので、狭いホールのティショットで使うのもおすすめです」と小倉氏。ピンポイントの状況下で活躍してくれるお助けクラブとしての活躍も見込めるわけだ。

また、最新モデルの番手ラインナップを見ても、テーラーメイドの「SIM2フェアウェイウッド」には15度の3番よりロフトの立った13.5度の「Rocket3」という番手(日本未発売)、キャロウェイ「エピックスピードフェアウェイウッド」の「+3」(ロフト13.5度)など、2番ウッドという名称ではないものの、それに相当するモデルも徐々に現れ始めており、今後アマチュアへの浸透も十分あり得そう。

もちろん“やさしいクラブ”だとは言えないが、刺さる人には刺さるクラブと言えそうだ。

画像: ドラコン王者たちがユージに特別レッスン!飛ばしの秘密はどこに?! youtu.be

ドラコン王者たちがユージに特別レッスン!飛ばしの秘密はどこに?!

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