ギアライターの高梨祥明がビギナーゴルファーに知っておいてもらいたい「ゴルフプレーの作法」を紹介する連載、第二回目は“バンカー”のならし方。「立つ鳥、足跡を残さず」でスマートにいこう!

バンカーならしは自分たちの手で。それがセルフプレーの「責任」

うまいゴルファーは「厄介なラフに入るくらいならバンカーのほうがマシ」などと言ったりするが、それはバンカーのほうがライコンディションが一定でショットの結果が予想しやすいからである。しかし、セルフプレーが多いコロナ禍でのラウンドでは、バンカーのライが安定しているとは必ずしもいえない。足跡だらけでバンカー内に小さいバンカーがあるようなボコボコのライになっているケースも珍しくはないのだ。

画像: 多少ボールから遠くても安全な低いところから入るのが基本。プレー進行を早めるために必ずバンカーレーキを持ってバンカーに入ろう

多少ボールから遠くても安全な低いところから入るのが基本。プレー進行を早めるために必ずバンカーレーキを持ってバンカーに入ろう

セルフプレーというのは、普段キャディさんがやっているラウンド業務をすべてプレーヤーが肩代わりすることで“安価”にプレーできるお得なシステムだ。通常プレーならキャディさんが「どうぞグリーンに上がってください〜」といいつつバンカーの砂をならしてくれたりするが、セルフプレーでは当然、自分たちでやらなくてはいけない。ただ安く回って帰ろうなどと思ってはダメだ。しっかりとセルフプレー契約の「責任」をみんなで果たすべきである。

では、ここでバンカーならしの基本について、改めて紹介してみたい。解説は太平洋クラブ八千代コースの市村英昭グリーンキーパーだ。

市村キーパーはバンカーならしも「後から来る他のプレーヤーのため。お互い様の精神を持つことがベースになるでしょう」と語る。その上で、基本的なバンカーならしのやり方をレクチャーしてくれた。

【POINT1】 ボールに一番近い“低いフチのところ”から、レーキを持って入る

バンカーはグリーンに近いサイドが高くなっている場合が多い。いくらボールに近いからとグリーン側から入るのは基本的にはNGだ。

「第一に足場が急傾斜で危険なので、低いところから入っていただきたいというのが基本です。あえてコース管理の立場としてお願いするとすれば、アゴ付近でバンカーショットした場合は、砂を上から掻き寄せてならすのではなく、低い側からアゴに向かって砂を押し出すようにしていただきたいということです。アゴ付近の砂がやせないようにしていただきたいのです」(市村キーパー)

画像: 横着して高いアゴの方から入るのは絶対NG。必ず低い側からアゴに近づき、ショット後は崩した砂をアゴに戻すように。レーキで砂を押して足場をならしていく

横着して高いアゴの方から入るのは絶対NG。必ず低い側からアゴに近づき、ショット後は崩した砂をアゴに戻すように。レーキで砂を押して足場をならしていく

アゴ付近にしっかり砂が入っているかどうかは美観のためでもあるが、実際はプレーヤーのためである。アゴの縁までしっかり砂があればボールが転がった勢いでバンカーから出ることもあるし、たとえ転がり出なくても急傾斜で平らなライまで戻り、比較的簡単なバンカーショットになる可能性が高い。

砂がなければアゴ近くにボールが止まりやすく、脱出不可能な状況を招いてしまう。後続プレーヤーがそうならないように、アゴ付近の傾斜を崩してしまった場合は、下から上に砂を押し戻しきれいな“バンク”を保つようにしたいものである。

【POINT2】 レーキのオモテ・ウラを使い分ける

普段何気なく目にしているバンカーレーキだが、これにはオモテとウラがあるのをご存知だろうか?
「手順としては最初に、レーキヘッドのクシのようになっている側で大きな凸凹を大雑把にならします。次にヘッドの上下を入れ替えてクシのない平らな側で軽く表面を仕上げます。バンカー出口に向かって後退りし、自分の足跡を消しながら出てください」(市村キーパー)

画像: まず大きな凸凹をクシ歯のついた側で手早くならす。後ろに下がりながらフチのほうに砂を掻き寄せるイメージ

まず大きな凸凹をクシ歯のついた側で手早くならす。後ろに下がりながらフチのほうに砂を掻き寄せるイメージ

凸凹なく仕上がりさえすればバンカーならしに正解はないというが、レーキヘッドのオモテ・ウラを知り、使い分けることで無駄な力を使わず美しく砂をならすことができる。同じゴルフコースで楽しんでいる他のプレーヤーのために、全員がしっかりと責任を果たしたい。それが自分に返ってくる。

画像: ヘッドをひっくり返してクシ歯のない面で表面の細かい凹凸をならす。力を入れてならすというより軽く撫でるようにしてクシ跡を消す

ヘッドをひっくり返してクシ歯のない面で表面の細かい凹凸をならす。力を入れてならすというより軽く撫でるようにしてクシ跡を消す

取材協力/太平洋クラブ八千代コース 写真/高梨祥明

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