ドラコンに挑戦し続ける理由は「緊張感」と「技術追求」の楽しさ
2015年からドラコン大会「ケン・コーポレーションカップ」を主催・運営し、自らもドラコン選手として大会出場を続ける福田健蔵さん。大会での最長記録は64歳の時に出した314ヤードで、75歳の現在でも300ヤード近くの飛距離を出す。180センチを超える体躯……ではなく、160センチ、58キロと、むしろ日本人の平均よりも小柄だ。
いったいどこから300ヤード近くを飛ばすパワーを出しているのか?いや、そもそも75歳になってまでなぜドラコン競技に出場を続けるのか?純粋な疑問をぶつけると福田さんは大きく笑いながら丁寧に答えてくれた。
「そりゃ若い人からみたらこんな年でドラコン出てるなんて変だよねえ(笑)。なんでこんなことやってるのか……。やっぱり人生は一回だし、自分の可能性を試したいっていう気持ちが強いですね。飛ばしの技術ってそれぞれ個性があって、合う合わないがあるわけです。それを自分で試しながら追求していくのはすごく楽しいんです」(福田健蔵、以下同)
福田さんは、ドラコンという競技の魅力をさらにこう続ける。
「ドラコンって短い時間で一発勝負だから緊張感がすごいんですよ。僕もまだ緊張で手が震えてティに球が乗らないときがあるくらい。これは聞いた話だけど、ドラコンに出る人たちって自分以外の何人かで乗り合わせて会場にくることが多いそうなんです。なんでかって、大会が終わった後も緊張が解けなくて手が震えて運転できなくなっちゃうかららしいんですよ(笑)。でもそのくらい緊張感ある競技ってやっぱりハマっちゃいますよね。小柄だけど、がんばって勝負できるように素振りは毎日欠かさずして、週に二回はボールを打ってますよ」
そんな福田さんのスウィング、一体どこに飛ばしのポイントがあるのか、伺ってみた。
![画像: 現在75歳の福田健蔵さん。いまでもスコアは平均80台前半で回る。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782728/rc/2021/06/07/8a72cb39107c7f19bed46a51f98b9f45da64337f_xlarge.jpg)
現在75歳の福田健蔵さん。いまでもスコアは平均80台前半で回る。
「まず一つ目のポイントはテークバック。テークバックはヘッドを地面に置いたまま、手元を先行して動かします。無駄な力が入らず、腕やクラブのしなりが出せるテークバックで、ドラコンプロもこういう始動をする人は多いです」
![画像: アドレス(左)からテークバック(右)の動き。ヘッドを接地したまま手元を先行して動かしている](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782728/rc/2021/06/07/7393880425632c80fe251a16de13129e4932c48f_xlarge.jpg)
アドレス(左)からテークバック(右)の動き。ヘッドを接地したまま手元を先行して動かしている
そして、福田さんが「二つ目のポイント」として挙げたのはトップからの切り返し。スウィングで一番大事な部分だという切り返しは、「下半身は『横』だけど上半身は『縦』に動くイメージ」と説明する。
「具体的に動きを説明すると、下半身は右足で地面を蹴りながら、腰を左に切る。上半身は、トップから右手を下に落とすだけ。この『横』と『縦』の動きのギャップで『タメ』が生まれます。その後は、下半身の動きに引っ張られるようにしてクラブを下ろしていくと、インパクトからフォローにかけては自然と腕がスーッと伸びていく。とにかく大事なのは最初の『タメ』をつくる動きで、この『タメ』がインパクトからフォローに向けて解放されていきヘッドスピードを生むんです」
![画像: トップ(左)、切り返し(中)、フォロー(右)の動き。切り返しで腰は左に回り、手元は下がっている](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782728/rc/2021/06/07/967faf8488085d1b692053582d14bbfe3a2459b2_xlarge.jpg)
トップ(左)、切り返し(中)、フォロー(右)の動き。切り返しで腰は左に回り、手元は下がっている
自らの技術を惜しげもなく披露してくれた福田さん、実は更なる飛距離アップのため、1年半前からトレーニングを始め、飛ばすための体づくりを行なっている真っ最中とのこと。
「自分では肩甲骨が硬いのかなと思っていたんですが、トレーナーには大胸筋が硬いんだと言われてしまいまして……。全然気が付かなかった。そういう新しい発見がまだあるんだから、年齢は関係ないですね。『年を取ったから』って諦めちゃダメです」
長くゴルフをたのしみたい人は、福田さんをお手本に、ぜひ更なる飛ばしを追求してみてはいかがだろうか。
TEXT&PHOTO/古屋雅章
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