体積は330cc。なのに高慣性モーメント
ヘッド体積460ccの大型ヘッドドライバーが主流となった現代でも小ぶりヘッドのモデルは一定数登場し続けているが、そんな中でも一際特異な設計となっているのが、キャスコの「UFOパワートルネードDDドライバー」だ。
小ぶりヘッドと言うと、操作性の高い上級者モデルというイメージを持つゴルファーもいるかもしれないが、UFOパワートルネードDDに関しては方向性を重視したやさしい性能のドライバーとなっている。
最大の特徴と言えるのがそのヘッド構造。ヘッド自体は体積330ccとかなり小ぶりなのだが、ヘッド後方にウェートとしての役割を持つ出っ張り部分を設けることで、重心深度48ミリ、重心角41度、そして慣性モーメント4600g・cm2と大型ヘッド並み、あるいはそれ凌ぐほどのヘッド性能を実現。
さらにソールデザインや構えた際のルックスに関しても出っ張り部分を含めて設計されており、小ぶりヘッドとは思えない、460ccヘッド並みの投影面積の大きさになっているというわけだ。
実際、UFOトルネードDDを試打してもらったプロゴルファー・中村修と堀口宜篤の両名も「特殊な見た目ではありますが、安心感はありますね」と口をそろえる。
「見た目は後方の出っ張りを見なければ一昔前の小ぶりヘッド並み。でも後方のパーツがついていることで投影面積が大きいぶん安心感はあります。実際、本当に2~3球ですぐ慣れましたね」(中村)
さらに、チップ径(シャフト先端部の外径)は一般的なドライバーシャフトより太めの9.5ミリを採用し、ヘッドのブレを軽減。シャフトについても専用設計で43.5インチと3番ウッド並みの短尺仕様となっており、ヘッド・シャフトのトータルでやさしさを重視した設計であることが伺える。
ではその性能はいかほどか。さっそくプロ2名にUFOトルネードDDを試打してもらった結果の平均値を見てみよう。
【堀口のUFOパワートルネードDDドライバーの試打結果】
HS43.6m/s ボール初速62.6m/s 打ち出し角13.6度 スピン量2452回転 キャリー232Y トータル251Y
【中村のUFOパワートルネードDDドライバーの試打結果】
HS42.7m/s ボール初速63.3m/s 打ち出し角16.3度 スピン量2597.3回転 キャリー239.7Y トータル258.7Y
「短尺シャフトと小ぶりヘッドの組み合わせですが、飛距離もちゃんと出ていますしつかまえてくれますね。シャキッとした打音で、打った感触は弾きが強めです」(堀口)
中村も「少しフェースを戻す動きが入れば、あとは勝手につかまえてくれますね」とヘッド性能を評価。さらに「シャフトに関しても、ヘッドに合わせて振りやすいように設計されています」という。
「シャフトは先端部の剛性が強めですが、手元側にかけて剛性を落とすことでタメがしっかり作れる性能になっています。ヘッド重量は205グラムと460ccの大型ヘッドと比較しても重めですが、43.5インチと短尺仕様であることで、振りやすい仕上がりになっていますね」(中村)
堀口は「エースドライバーとしての採用はもちろん、飛距離に特化したドライバーと組み合わせた『二刀流』セッティングも面白そうです」という。
「飛距離の出したいホールでは別のモデル、狭いフェアウェイを狙いつつ飛距離も欲しいときはUFOトルネードDDでティショットを打つ、といった使い分けができそうですね」(堀口)
もちろん短尺仕様であるぶんミート率の上昇も見込めると堀口。短尺仕様については自身のスウィングとの合う・合わないも生じてくるが、いずれにせよ一発の飛びより安定性を求めたいゴルファーにとって、またひとつ新たな選択肢が増えたと言って良いだろう。