自身の技術だけでなく、ゴルフクラブの性能に頼るのもゴルフの醍醐味のひとつ。「自分が苦手な状況があるなら、それに特化した“エキストラクラブ”を採用してみるのもひとつの手ですよ」というのは、業界屈指のギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人。詳しく話を聞いてみよう。

こんにちはギアオタク店長の小倉です。みなさんはひとつの使い方に特化したクラブを持っていますでしょうか。たとえば、バンカー専用にしているウェッジとか、狭いホール専用のティショットで使うFWとかそういったクラブです。チッパーなどもそういったクラブの類に入ります。私はそういったクラブを勝手にエキストラクラブと呼んでいます。

私はこういった何かに特化したエキストラクラブが大好きで、通常のクラブを改造して作成することもあります。以前お客様の要望を元に3番アイアンを短く重くし、ライ角を調整して林から脱出する専用のクラブを作ったことがあります。そのクラブはいまだに大活躍しているそうです。

今回お客様からこんなご相談がありました。「グリーン外からランニングアプローチのしやすいクラブってどんなクラブだ?」と。詳しく聞けば、ウェッジが苦手でアプローチは極力転がしてミスを減らしたいのだが、ロフトの立ったアイアンで転がすとグリーン手前の芝の状況によって転がりの計算がしづらい。かといってパターでやると芝の抵抗が強すぎてこれまたうまくいかない。何か解決方法はないかということでした。

まずチッパーをお勧めしましたが、チッパーはすでにロフト違いのものを2本ほど試したそうでどちらもボールが上がり過ぎてしまい距離感が合わなかったそう。そこで私はウッド型UTでのアプローチをお勧めしました。

ロフトが立ったウッド型のヘッドで転がすと、アイアンやウェッジで転がしたときよりもスピンが少なく芝の抵抗に負けにくい、ちょっとトップスピンが掛かったような転がりになります。プロの世界でもグリーン周りでライが悪く、ボールが上げられない状況などではFWやUTを使って転がすことがあるんですよ。

ロフトの立ったウッド型UTなら、トップスピンをかけつつボールも上がり過ぎず転がすことができると小倉氏

後日そのお客様から再度ご相談が。「転がりはイメージ通りで良かったが、クラブが長くて構えづらい! 短い転がし専用のUTは作れないか?」と。

画像: 転がし専用UT。17度とロフトの立ったヘッドに鉛を貼り、ネック内にも鉛を入れることで重量を調整

転がし専用UT。17度とロフトの立ったヘッドに鉛を貼り、ネック内にも鉛を入れることで重量を調整

早速作ってみました! ヘッドはロフトの立った17度のUTを使い、そのままではヘッドが軽いので鉛を使ってできるだけ重く。パター用で約150グラムのスチールシャフトを装着して36インチで仕上げました。

画像: パター用のスチールシャフト(150グラム)と組み合わせて使用(写真上)。クラブ長は36インチとなっている

パター用のスチールシャフト(150グラム)と組み合わせて使用(写真上)。クラブ長は36インチとなっている

結果は上々のようで花道から30~40ヤードぐらいでも距離が合わせやすいと喜んで頂きました。自身の腕を磨くのもゴルフですが、道具に頼って結果を出すのもゴルフです。色々な楽しみ方があってしかるべき! また面白いアイデアが浮かんだら形にしてみたいと思います。

画像: 注目すべきは軸の位置!世界を制した笹生優花のスウィングを小澤美奈瀬が解説 youtu.be

注目すべきは軸の位置!世界を制した笹生優花のスウィングを小澤美奈瀬が解説

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