50ヤードのアプローチでもスピン量10000回転超え
ブリヂストンが新たに発売したウェッジ「BリミテッドBRMフルミルド」。すでに国内男子プロでは宮里優作、比嘉一貴、坂本雄介、女子でも渡邉彩香、大里桃子、三ヶ島かながスイッチを決めた注目モデルで、最大の特徴は、スピン性能を求めた設計・製造法になっている点だ。
フルミルドと名の付く通り、ヘッドはすべて機械による削り出し。しかも、フェースのミーリング加工によるスピン性能の向上を図るため、レーシングカーのエンジンを開発する「無限」(株式会社M-TEC)に加工を依頼。その加工技術によって、ミーリングは1000分の1ミリ単位の精度で、スピン性能が極限まで高められているという。
ではその性能はいかほどか。プロゴルファー・中村修と堀口宜篤が、52・58度の2番手を用い、いずれも日本シャフト「NSプロモーダス3 ツアー105」シャフトと組み合わせて試打を行った。
まずは見た目の印象から聞いてみよう。
「構えてみると、ちょっと小ぶりで上級者が好みそうなヘッドサイズですね。リーディングエッジはストレートというよりは若干丸みを帯びていて、フェースを開いたり閉じたりしたときにも扱いやすそうです」(中村)
堀口は「ティアドロップ形状で、構えたときにボールを包んでくれているように見えますね。ソールしたときにリーディングエッジが地面にピタッと着いてくれてバウンスも入れやすい形なので、スピンもかけやすそうです」という。
ではBリミテッドBRMのウリにもなっているスピン性能はどの程度のものか、ロフト52度モデルの両者の試打結果を見てみよう。
【堀口のBリミテッドBRMフルミルド(52度)の試打結果】
HS37.7m/s 打ち出し角30.1度 スピン量9115.3回転 キャリー103Y トータル107Y
【中村のBリミテッドBRMフルミルド(52度)の試打結果】
HS37.1m/s 打ち出し角28.2度 スピン量9434回転 キャリー100.3Y トータル105Y
「まず、打感がめちゃくちゃ柔らかいですね。フェースで喰っている感触が明確にあります。スピン量もとくにスピンを意識していないフルショットで打ってもかかる。意識的にスピンをかけるような打ち方をすれば、そのぶんだけさらにしっかりかかってくれる性能がありますよ」(堀口)
中村も「何ならスピンがかかり過ぎて、少し高さが出ていないのかな、というくらいです。抜けも良いので、安心してピンを狙っていけますね」という。
58度に関しても、スピン量は堀口が平均10380.4回転、中村が平均9714.7回転。両者ともかなりアベレージが高めで、1万回転超えのショットも連発。「フルショットでなく、フェースを開いて50ヤード程度のコントロールショットを打っても1万回転を超えるスピン量のショットもありましたね」と中村は言う。
2人のプロが感じた通り、十二分なスピン性能の高さを持つBリミテッドBRMフルミルドだが、スピン性能に妥協していないぶん、1本で税込10万7800円とかなりお高めの価格設定となっている。
だが「プロがスイッチする理由がよくわかる」と中村。それは単に性能の高さだけでなく、「人の手が一切入らず、機械によって作られているという点が大きい」という。
「機械による削り出しで作られ人の手が入っていないぶん、製品誤差がないという点が良いですね。練習量が多く、ウェッジの溝が摩耗しやすいプロにとって、新品に交換した際にもフィーリングが変わらないというのはかなり大きいです」(中村)
もちろん程度の差はあれど、溝の摩耗に関してはアマチュアにも同様のことが言える。また「ネック側とトウ側はメッキ加工されていてフェース面だけノーメッキという形なので、ラウンド後のフェース面の手入れさえしっかり行えば、錆の心配もなくかなり良い状態で使い続けられそうです」と中村。
堀口も「これだけスピンがかかるとアプローチが楽しくなりますね。プロが納得するレベルのウェッジの良さを味わってもらいたいです」という。
一度打ってみたいウェッジと言えそうだ。