スパイダーから2ボールTENへ。試行錯誤の末「ロッシーS」にたどりつく
全米オープンに優勝したジョン・ラーム。今年の頭にキャロウェイと契約したが、もっともフィッティングに苦労したのはパターだった。
それまでテーラーメイドの看板選手のひとりとして活躍していたラームは、1月にキャロウェイと電撃的に契約した。昨年は世界ランキング一位となっており、頂点に立つ選手の契約変更は驚きを持って迎えられた。
特にボールに加え、クラブをすべて変更したことで、契約に疑問を抱く声もあった。というのも用品契約を変更したものの、必ずしも上手くいかないケースがあるからだ。最近では、2019年に本間ゴルフと契約したジャスティン・ローズが挙げられる。ローズは契約直後に優勝するなど順調なスタートだったが、翌年の5月には契約を解消してしまった。
セルヒオ・ガルシアは長年愛用していたテーラーメイドから、2018年にキャロウェイと契約。ガルシアも成績がそれほど悪くなったわけではないが、2020年からは契約フリーに。そして今年はテーラーメイドと再契約を交わした。
すでに世界ランキング一位になっているラームが、わざわざギアを変えるのはリスクがあったはずだ。しかし、そんな心配をもろともせず、ラームの成績は今シーズンも好調だ。全米オープンまで優勝はないもののベストテンは7回あり、ギア変更の影響はまったく感じさせなかった。
しかし、唯一パターだけはしっくりきていないと感じていたようだ。昨年まではテーラーメイドの「スパイダーツアーレッド」を愛用。キャロウェイと契約してからは、比較的近い形状のオデッセイ「2ボール TEN」を使用していた。ラームは学生時代に「2ボール」を愛用しており、例の2ボールアライメントも気に入っているということで、一見ベストマッチにも思える選択だが、ラーム自身はキャロウェイと契約して、もっともフィットするのに時間がかかったのがパターだったという。
ラームは「自分に合うパターを見つけるために、オデッセイがパターをいくつ作っているかわからないほど」とコメントしている。ラームのためにメーカーからおびただしい数のパターが用意され、最終的にマッチしたのが、全米オープンで使用した「ホワイトホットOG ロッシーS」だった。
現在、市場でラインナップされている「ホワイトホットOG ロッシー」と異なり、ラームの使用する「ロッシーS」はショートスラントネックを採用し、インパクト付近でフェースの開閉が入りやすいモデルだ。寛容性に加え、操作性を増したパターで、最終日の劇的な17番、18番の連続バーディーにつなげたわけだ。
ギア選びの最後のピースが揃ったラーム。オリンピックや全英オープンでも有力な優勝候補になりそうだ。