溝=スコアラインをフェース全面に配した「フルスコアラインウェッジ」の最新モデル、テーラーメイド「ハイ・トウ ロウウェッジ」とクリーブランド「RTXフルフェースウェッジ」の2モデルを、プロゴルファー・中村修と堀口宜篤が試打し、その性能をたしかめた。

「ハイ・トウ ロウ」と「RTXフルフェース」を比較した

フェースの全面に溝=スコアラインを配した「フルスコアラインウェッジ」。古くはロブショットの名手フィル・ミケルソンのためにキャロウェイが開発した「マックダディ・PMグラインド」が話題となったフルスコアラインウェッジは、近年もフランチェスコ・モリナリが2018年の全英オープンでテーラーメイドのフルスコアラインウェッジ「ハイ・トウ ウェッジ」を使用し注目を集めた。

画像: テーラーメイド「ハイ・トウ ロウ」(右)とクリーブランド「RTXフルフェース」(左)、フルスコアラインウェッジ2モデルをプロが試打!

テーラーメイド「ハイ・トウ ロウ」(右)とクリーブランド「RTXフルフェース」(左)、フルスコアラインウェッジ2モデルをプロが試打!

その後も2021年2月には同シリーズのニューモデルとして「ハイ・トウ ロウウェッジ」が登場し、6月にはクリーブランドからも「RTXフルフェースウェッジ」が発売されたばかり。フルスコアラインウェッジは、アマチュアの間にも徐々に浸透しつつある。

ではそもそもフルスコアラインを採用するメリットとはどこにあるのか。プロゴルファー・中村修はこう説明する。

「通常のウェッジはフェース面のトウ側に溝がない箇所がありますが、フルスコアラインだとその部分もカバーされていることで、フェースを開いて打つ場面でも安定してスピンを掛けながら打ちやすいんです」(中村)

そう聞くと、フェースの開き度合いを自在に操ることができる上級者向けなのか、と思いきや「構えたときのやさしさにもつながっているので、恩恵は十分に感じられますよ」と中村。

「全面にスコアラインが入っていると構えたときにフェース面が大きく見え、やさしく感じますね。実際、ハイ・トウ ロウは特段フェース面のサイズが大きいわけではないですが、構えたときには安心感があります」(中村)

画像: テーラーメイド「ハイ・トウ ロウウェッジ」(写真は58度)

テーラーメイド「ハイ・トウ ロウウェッジ」(写真は58度)

ではハイ・トウ ロウとRTXフルフェースの2モデル(いずれも58度)を用い、そのフルスコアラインウェッジの打ち心地のほどを中村と堀口に試打してたしかめてもらおう。

強烈スピンでフェースも開きやすいハイ・トウ ロウ

まずはハイ・トウ ロウから。その名の通りトウ側が高くなるよう設計されたハイ・トウシリーズだが、ハイ・トウ ロウではフェース面の溝をさらに細かくしつつ、フェース面のみノーメッキ仕様にすることでさらに溝のエッジが際立ちスピン性能が向上している。

また、バックフェースのソール側に3つの穴が開いていることで重心位置が高くなっており、重心より下で打ちやすく、より多くのスピンを掛けやすい仕上がりになっているという。両者の試打結果は以下の通りだ。

【堀口のハイ・トウ ロウウェッジ(58度)試打結果】
スピン量10338.7回転 キャリー75.7Y トータル77Y 打ち出し角32.1度

【中村のハイ・トウ ロウウェッジ(58度)試打結果】
スピン量10058回転 キャリー73Y トータル74.1Y 打ち出し角27.7度

「当たり前のようにスピン量が1万回転を超えてきますね。打感自体は柔らかいのですが、一方でフェースの溝がボールを噛んでいる感触もものすごく伝わってきます。がっつりスピンを掛けに行くような打ち方ではなかったのですが、フェース面にボールの跡が少し付いてしまうほどですね(笑)」(堀口)

中村は加えて「フェースを開いたときの打ちやすさ」も感じたという。

「ハイ・トウ ロウはリーディングエッジの丸みの頂点がトウ側寄りになっていることで、より開いたときに違和感なく構えやすいです。スクェアに構えた際の座りも良いですし、開いて打っても気持ち良く抜けてくれますね」(中村)

クリーブランド「RTXフルフェース」もスピン1万回転超えを連発

一方のクリーブランドの「RTXフルフェース」も、フェースを開いた状態でのショットが打ちやすいよう、フェース面トウ側が高くヒール側が低い設計。フェースはレーザーミーリング加工によってスピン性能がアップ。

ネック部に軽比重のセラミックピンを内蔵し余剰重量をトウ側に配置することで、ゴルファーの実際の打点位置であるフェースセンターに重心位置を寄せ、安定したスピン量を確保しているという。また、「フェース上部、バックフェースのモデル名が彫られている部分がやや厚みを持っていますね。ハイ・トウ ロウと同じく高重心になる工夫でしょう」と中村。

では、RTXフルフェースの両者の試打結果を見てみよう。

画像: クリーブランド「RTXフルフェースウェッジ」(写真は58度)

クリーブランド「RTXフルフェースウェッジ」(写真は58度)

【堀口のRTXフルフェースウェッジ(58度)試打結果】
スピン量10038.3回転 キャリー71.7Y トータル73.3Y 打ち出し角32.7度

【中村のRTXフルフェースウェッジ(58度)試打結果】
スピン量10024回転 キャリー70.3Y トータル72Y 打ち出し角29.7度

「ハイ・トウ ロウと比較すると、RTXフルフェースのほうがボールがフェースに乗る感覚が若干強く感じます。スピン性能に関してはこちらも1万回転超えを連発。高く上げた際はもちろん、低い球でもしっかりスピンがかかります。今後待ち受ける、厄介な夏場の深いラフにも強そうですね」(堀口)

中村も「ハイ・トウ ロウでも感じていましたが、スピンが効き過ぎて高さが一般的な58度より若干低い気がします。スピン性能はどちらもすごいですね」という。

「しかし、甲乙つけがたいですね。トップラインにこそ多少の違いがあるものの、ネックの長さやソールの形状なども、ハイ・トウ ロウとRTXフルフェースは似通っています。性能的には非常に近いと言えるでしょう」(中村)

性能が拮抗しているぶん、2モデルからどちらかを選ぶとするなら他のクラブとのつながりで決めるのもアリだと両者。

「仕上げで選ぶのもアリですね。ハイ・トウ ロウはカッパー仕上げでフェース面のみノーメッキ仕様、対してRTXフルフェースはツアーサテン仕上げになっています」(中村)

試打プロ両名が「アプローチが楽しくなるウェッジ」と評したハイ・トウ ロウとRTXフルフェースの2モデル。機会があれば試打してみてはいかがだろう。

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