石川遼もそのスウィングに興味津々
こんにちはケンジロウです。
ジョージア州のアトランタよりお届けしております。KPMG全米女子プロゴルフ選手権の取材に行ってきました。アメリカの女子ツアーは、ほんと多国籍化が進んでいますよね。
出場選手の出身国を見てみると、アメリカ、韓国、タイ、日本、フィリピン、イギリス、中国、メキシコ、オーストラリア、スペイン、イタリア……。国を挙げていったらキリがないですね。
メジャーに出ている選手は世界ランキングの上位者なので、いわばそのほとんどがオリンピックの代表選手。優勝したネリー・コルダもアメリカ代表、ほかにも韓国代表のコ・ジンヨン、インビー・パーク、ニュージーランドのリディア・コーなどなど、みな1か月後に東京オリンピックにやってくることでしょう。
そのなかで今回とくに気になった選手がいます。メキシコ代表のマリア・ファッシです。
マリア・ファッシは1998年生まれの23歳。メキシコのパチューカ出身で、アーカンソー大学を卒業しています。2018年のQシリーズを通過し、2019年にプロデビュー。2020年はマラトン選手権で9位タイ、予選も16試合で10回通過するなど、順調にキャリアを積んでいます。
パチューカと聞いてピンときたかたはいるかもしれません。そう、サッカーの本多圭佑が以前所属していたチームがパチューカでしたね。実は彼女のお父さんのアンドレスさんはパチューカの副会長をやったことがあり、今はアルゼンチンのサッカーチームの会長をやっているんですよ。
なぜ気になったかというと、そのスウィングの迫力の凄いこと。予選ラウンドで上原彩子と同組で回っていたので、たまたま彼女のスウィングを見たのですが、とにかくそのスピード感や躍動感がハンパないんです。長い髪をたなびかせてドライバーを振りちぎっていましたよ。
インパクトの音も凄くて、まるで男子プロ並みの「バチーン」という叩いた金属音がします。世界には凄い選手がいるもんだなと、つくづく思いましたね。
さて、彼女のスウィングの写真を撮ったので、じっくりと見てみました。
小柄なのですが、体のバネをフルに使って飛ばしている印象です。切り返しから地面を踏んで、クラブをタメて下ろしています。ハーフウェイダウンからインパクトに向けて、踏んだ足をピンと伸ばしていく一方で、右サイドの側屈がしっかりと入ってフォローまで前傾がキープされています。効率の良さそうな、まさに今どきのスウィングですよね。
それにしても、いったい何ヤード飛んでいるのか? 気になって米LPGAのスタッツを見てみると、平均飛距離がなんと約280ヤードもあるじゃないですか(ちなみに1位の選手は約290ヤードでした……)。こりゃ男子プロ並みの飛距離。
ヘッドスピードはいったいどれくらい出ているんでしょうね。日本人と変わらない体型ですから、我々が飛ばすうえで、もっとも参考になるんじゃないですかね。
外見もまた“気になる存在”で、ティアドロップ型のサングラスがなんとも個性的なんです。このサングラスが似合うのは、他にスペインのヒメネスぐらいでしょうね。
マリア・ファッシという名前を見て、ひとつ思い出しました。石川遼に昨年インタビューしていたときに、「めちゃくちゃいいスウィングの子がいるんですよ」といって、彼女の名前を教えてくれたんです。だいぶ早い段階から彼女の存在に気づいていたのはさすがですね。
「自分と身長が似ていてそれで飛ばしている選手はすごく参考になります。彼女はとくに、インパクトの手元の収まりが凄くいいんですよ」(石川)とそのスウィングの良さを分析していました。
石川遼も興味を示す、そのスウィング。彼女はメキシコ代表としてオリンピックで来日予定です。マリア・ファッシ、この名前、覚えておいてください!
写真/ケンジロウ