2020-21シーズンを通して、ここまで1試合も休まず全32試合に出場している小祝さくら選手。3勝を含めトップ10回数15回は全体の1位で、予選落ちもわずかに1回と抜群の安定感を誇っています。
スタッツを見ても軒並み上位にランクされています。その安定したショットを支えているのが練習量です。最終日の終わった後に辻村明志コーチのいる練習場へと直行したり、帰宅したあとに素振りをする姿がSNSでよく見られています。
練習量と的確な指導で調子の波を少なくしている小祝選手ですが、スウィングの要になっているのは「手先に頼らず下半身と体幹を使うこと」辻村コーチはいいます。ではそのスウィングを見てみましょう。
画像Aの左のオーソドックスなスクェアグリップで握るバランスのいいアドレスから、画像A右の左腕が地面と平行になる位置で左腕は伸びた状態、右腕はわずかにひじが曲がった状態で、手元が胸の前に位置しています。
手先でクラブを上げずに、腕の動きと体の回転が同調したテークバックをしています。始動から背中を使ってクラブを上げるように意識するとこのように再現性の高いテークバックが取れます。
画像B左のトップでは下半身で上体のねじりを受け止めながら、肩のラインは90度以上回りしっかりと肩が回っています。続く画像B右では、お腹周りの筋肉を使って切り返すことでシャフトにしなりを与え、上体は開かずに下半身が先行。上下の捻転差を作り始めていることが見て取れます。
下半身を早い段階で使い過ぎてしまうと前傾が起きてしまったり、右足かかとが浮くのが早くなってしまいます。下半身が暴れてしまう人、クラブヘッドから動き出してしまう人は、小祝選手のようにお腹周りの体幹部を使って切り返すイメージは参考になるでしょう。
画像Cの左のダウンスウィングでは、体幹を使って切り返したあとに脚を使って回転力を高めています。上半身は開いていませんが、下半身は回転しており、捻転差がはっきりと見て取れています。
そして、画像C右の画像では、体幹部と下半身を使って回転力を生み出すことでクラブを加速させていることがわかります。頭の位置、そしてスウィングの軸を体のセンターにキープすることで、クラブを加速させてもその軌道が安定し、スムーズに振り抜けていることも見て取れます。
コースのセッティングはラフも短く、グリーンもまだ柔らかくスピードも速くないと現地からの情報も入ってきています。ポイントは北海度ならではの洋芝への対応。
ボールとフェースの間に芝が噛むと思ったよりも飛びすぎるフライヤーという現象が起こりますが、水分を含み柔らかい洋芝の場合では反対に飛ばなくなることも多く、グリーン周りのアプローチでも球がわずかに沈むことが多くなります。そういった、洋芝ならではの難しさを上手くクリアした選手が上位に顔を出すのは間違いありません。
コースに対して地の利を生かせる小祝選手のプレーに注目していきたいと思います。