ロングアイアンに代わるクラブとして開発されたユーティリティ(以下UT)は、球を上げやすくボールのつかまり、ミスにも比較的寛容な“お助けクラブ”としてアマチュアの強い味方になり得る番手だ。
これはもちろん120切りを目指すビギナーにも言えること。「120切り達成に必須というわけではありませんが、扱うことができれば頼れるクラブです」と兼濱。
「まずUTの打ち方は基本的にアイアンと同じくダウンブロー軌道でインパクトを迎えるのが正解です。アイアンよりクラブ長が長いぶんスタンス幅はやや広めに取ると良いです。適切なスタンス幅を見つけるために、まずは練習で素振りをしてみてスウィング中に体が安定する幅を探してみてください。そのときにヘッドが地面に擦れる位置=ボール位置になります」(兼濱、以下同)
ただし「やさしいと言えど使いどころには注意してほしい」という。
「まず使用を避けてほしいのはラフ。長い芝によってボールが地面から浮いているぶんフェースの上っ面に当たってボールが極端に高く上がって飛距離が出ない“テンプラ”のミスが起こりやすいので注意です」
また、仮にフェアウェイであっても「ライ(傾斜などのボールの置かれた状況)はしっかり見極めましょう」と兼濱。とくに使用を避けたいのは、左足下がりとつま先上がりのライだという。
「前者は体の右サイド側の地面が高くなっているのでそもそもダフリが起きやすいですが、UTに関してはソール幅がアイアンよりも広いので、より取り返しのつかないミスが出てしまう可能性が高まります。後者は、真っすぐに構えたつもりでも、クラブの構造上フェース面が目標方向より左を向いてしまうライですので、やさしくつかまえてくれるUTだと過剰に左に曲がってしまう場合があります。また、ボール位置が平坦なライより高くなっているぶん、上から打ち込み過ぎてテンプラしたり逆に大ダフリ、といったミスも出やすいです」
上記2つ、とくに左足下がりのライに関しては「少しでも傾斜があるなと感じたら使用を避けるのが良いです」と兼濱。一方で「多少のつま先下がりや左足上がりのライ、とくに後者は打ちやすいですよ」と話す。
「左足上がりは体の右サイド側の地面が低くなっている=ダウンスウィングの障害物がないライなのでダウンブローでボールにコンタクトしやすいです。あとUTは球を上げやすいとはいえ、ロフトの立ったクラブって球が思ったより上がらないという悩みが起きがちですが、左足上がりなら傾斜のぶんロフトが自然と寝てくれるので球も上がりやすいライと言えますね」
もちろん傾斜にしっかりと立ちバランスを崩さずスウィングできることが前提ではあるが、使いどころを見極めれば心強い味方となってくれるのは間違いない。UTの実戦投入を考えているビギナーは、兼濱の教えを番手選びの参考にしてみては?