日本プロでは、石川遼が長年愛用していたL字マレット型パターから、アンサータイプのパターに変更していた。その際話題になっていたのは、形状ではなく35インチから33インチに短くしたシャフト長だった。
石川はもともと手が長く、35インチのパターを短く持っていたのを改めて短くしたらしい。本人もコメントしている通り、長くなると仮に同じ重さであっても重く感じるものだ。短くすることで、操作性が出しやすいメリットがある。石川も初日26パット、2日目は27パットと好調だった。
翻って、そもそも多くのアマチュアゴルファーは、昔から長すぎるパターを使いがちという指摘がある。一般的に愛用される33〜35インチはアメリカ人の標準的な長さであって、背の低い日本人はもう少し短いほうがマッチするというものだ。手の長さや曲げ方、前傾角度など、考慮すべき点はいくつもあるが、たしかにそういう傾向もあるかもしれない。
かつては伊澤利光が、非常に短いパターを使っていた。稀代のショットメーカーである伊澤にとってはパターであっても操作性を出しやすい、軽くて短いパターが適していたのだろう。かつてはフィル・ミケルソンも短めを使用していた。
一方、長くした選手も少なくない。代表的な選手はブライソン・デシャンボーだろう。43インチでアップライトなライ角のパターを左腕に固定するアームロック式でパッティングしている。ショットでもハンドアップで機械的なスウィングを追求している彼らしいスタイルだ。
全米オープンで勝利したジョン・ラームは、一見すると普通の長さに見えるが、そのパターは37インチもあるという。大柄なラームが前傾を浅めにすると、ちょうど長めのパターがしっくりくるようだ。往時の尾崎将司も35〜36.5インチくらいの長めのシャフト長を好んでいた。シャフトが長くなると、パター全体の慣性モーメントが大きくなり、ストロークに安定感が出て、直進性も向上する。このあたりは短くすると操作性が向上するのと、トレードオフの関係だ。
基本的には、背が高い選手は長めのパターが合うわけだが、前傾を深くしたり、手を伸ばし気味に使うと、より短いほうがマッチする。体格はもちろんパッティングスタイルによって適正な長さは変わってしまうので、そこに正解というものはないようだ。
しかし、長さの影響はヘッド形状に劣らないほど大きいので、パッティングの調子が悪い時、方向性が悪いなら長いパター、距離感が出ないなら短いパターを試して見るといいかもしれない。