最終日は堀琴音と若林舞衣子のマッチプレーに
北海道の桂GCで開催された「ニッポンハムレディスクラシック」の最終日は、3日目に6アンダーの66で単独首位に躍り出た若林舞衣子選手と、若林選手との2打差を追って2位からスタートした堀琴音選手の一騎打ちの展開になりました。
産休後に復帰しママゴルファーとして家族に優勝を届けたい若林舞衣子選手と、復活シードと初優勝を狙う堀琴音選手。二人とも優勝を狙う気持ちの強さが表れ、スコアを伸ばし合う展開でスタートしていきます。
幸先よく1番で2メートルを沈めてバーディを奪ったのは堀選手。3番では80センチ、6番ではOKバーディとし前半を3アンダー、一方の若林選手も4番でチップインバーディ、7番でもバーディを奪い2アンダーとし1打差で首位を守って折り返します。
フェアウェイとグリーンがベント芝、ラフがケンタッキーブルーグラス。桂GCは北海道独特の洋芝への対応が求められるコースですが、両選手とも見事なショット、パットの応酬で優勝争いのプレッシャーの中でもミスをしません。
後半に入ると若林選手が12番でバーディを奪いリードを2打差に広げますが、堀選手は14番、15番で連続バーディを奪い首位に並び残り3ホールへと進みます。しびれる展開となっても互いにノーミス。上がり3ホールでもパーを並べ、プレーオフへと突入。そして、3ホールにわたったプレーオフでもフェアウェイをとらえ続けた堀選手が75ホールの戦いを制し、プロ初優勝と復活シードをつかみました。
二人とも強い気持ちを持ってプレーする姿が印象的でしたが、ラウンド後の会見で敗れた若林選手が終始攻め続けた堀選手のプレーを称えたことからも堀選手の攻め続けた姿勢がほんのわずかに上回った結果となったようです。そして、敗れてなお勝者を称える若林選手のスポーツマンシップも素晴らしいと思います。
原江里菜に紹介されたコーチ・森守洋の指導で復活
優勝会見では、2018年、19年頃はボールは真っすぐいかないし、夜も心臓バクバクで寝れない、疲れも抜けない、悪循環ばかりでなんでゴルフをやらないといけないんだろうと思ったときもあったと語っていた堀選手。しかしそこから、森守洋コーチに指導を受けるきっかけをくれた原江里菜選手の助言もあり、もう一度頑張ろうと思ったと話しました。
「私の人生スッキリしないまま終わるんじゃないかと。いろいろ挑戦して悔いはないという風になりたいなと。調子悪くて練習している自分がいたんです。そうしたら原さんから、練習をしている自分がいるという事はまだゴルフが好きだということだし、あきらめられないと思うから頑張ろうと思いました」(堀琴音)
「アース・モンダミンカップ」でキャディを務め4位タイに導いた森守洋コーチは、この優勝の要因をスウィングの改善ももちろんあるが、ゴルフというゲームの考え方が成長したこと、強い気持ちを持ってプレーできるようになったことが大きいと言います。
「『アース・モンダミンカップ』のときは、最終日の終盤になると呼吸が浅くなって気持ちのコントロールもできなくなっていました。でも今日はしっかりと深く呼吸して落ち着いてプレーできていました」(森守洋コーチ)
一つ技術的に印象に残ったのは、プレーオフのティショットで見せた少し低めのランの出る安定したドライバーショットでした。これまでは平均飛距離は227.55ヤードでありましたが、今大会では234.63ヤードと雨が多かったコンディションでもしっかりと距離を出せていました。森守洋コーチに解説を聞きました。
「ティアップを低くして打つローボールですね。曲がらずにランも出て距離を稼げたので6763ヤードというセッティングで活きました。もともと手先を使わずに体のキレで打てるようになってきていたので、セットアップを少しアレンジして打てるようになったボールです」(森守洋コーチ)
優勝のインタビューで「早く2勝目もしたいと思いました」と答えた堀選手。この優勝で重い鎧を脱いだ堀選手のこれからのプレーに引き続き注目していきます。