ウェッジ→ドライバー→その他のクラブの順に練習したい
初心者が14本のクラブのなかでどの番手を練習すべきか、という質問に「まず7番アイアンから」と答えるゴルファーは多いはず。
たしかに14本のクラブセッティングのなかで重量やクラブの長さがちょうど真ん中に位置する7番アイアンはゴルフスウィングの基礎を覚えるのには適切……かと思いきや「僕はちょっと違う意見なんです」と兼濱。
「なぜかを説明する前にまずお話しておきたいのが、ゴルフクラブの性能を左右する要素のひとつとして『重心角』というものがあるということです。この重心角はクラブを机などに水平に置いてヘッドを宙に垂らしてみると番手ごとの違いがわかりやすいです。このときフェース面が上を向く度合いが大きいほど重心角が大きく、度合いが小さいほど重心角も小さいということになります」(兼濱、以下同)
ではこの重心角がゴルフスウィングにどう関係してくるのか。端的に言えば、重心角が大きいほどスウィング中にヘッドが返りやすい=つかまりやすい、逆に小さければヘッドが返りにくい=つかまりづらいというわけだ。
この重心角の設定は、もちろんモデル自体の特性にもよるが、一般的にはロフトの寝たウェッジほど大きく、ショート・ミドル・ロングアイアンとロフトが立っていくごとに小さくなっていく。そしてUT・FWとウッド類になると再び重心角が大きくなり、もっとも重心角のついたクラブがドライバー、ということになる。
つまり7番アイアンは重心角という点から見てもちょうど中間に位置し、つかまりやすくもつかまりづらくもない、“クセがない”番手になるわけだが「これが正しいゴルフスウィングを身に付けるうえでネックになってくるんです」と兼濱。
「そもそもゴルフスウィングはクラブの動き、つまりヘッドが返る動作に従って振るのが原則で、重心角が大きいほどクラブの言うことを聞かないと真っすぐ打つことはできないのですが、7番アイアンの場合ヘッドの挙動自体に比較的クセがないぶん自分の体の動きでなんとなく打ててしまうんです。ヘッドの挙動にクセがなければスウィング中にヘッドが返ってくる動きも感覚的に覚えづらく、それをコントロールする術も身に付きづらいというわけです」
だからこそ、正しいゴルフスウィングを身に付けるには「まず重心角が大きい=挙動のクセが強いクラブから練習するのが良いんです」と兼濱。優先順位はウェッジ>ドライバー>その他のクラブだという。
「ウェッジとドライバーは単に重心角が大きいだけでなく、スコアメイクという面で考えても真っ先に扱えるようになっておきたいクラブです。アマチュアの方がスコアを重ねてしまう原因として大きいのがティショットでのOBやウェッジでのアプローチ、とくに20ヤード以内でのミスですからね。逆に言えば、この2つさえ一定の水準まで上達すれば、自然とスコアもまとまってきますよ」
まず取り組んでほしいのがピッチングウェッジのフルショット。利き手だけで片手素振りをする練習をして、クラブの挙動、ヘッドが返る感覚を感じてみるのもオススメだという。120切りを目指すゴルファーは、今一度練習するクラブを見直してみてはいかがだろう。