「ニッポンハムレディスクラシック」で涙の復活初優勝を挙げた堀琴音、今季好調で東京オリンピックにも出場予定の稲見萌寧、そして堀とプレーオフを戦った若林舞衣子、現在初優勝にもっとも近い位置にいるうちの一人といえる高橋彩華……彼女たちはみな、テーラーメイドの「トラスパター」の愛用者。果たしてトラスパターはなにがいいのか? パターマニアプロに話を聞いてみた。

テーラーメイドの「トラス」とは、パターのネック部分に橋げたなどに用いられるトラス構造を取り入れたことでミスヒットに強いというパター。

画像: 写真左上から時計回りに堀琴音、稲見萌寧、若林舞衣子、高橋彩華らが「トラス」パターを使用している

写真左上から時計回りに堀琴音、稲見萌寧、若林舞衣子、高橋彩華らが「トラス」パターを使用している

堀琴音はトラスパターTB2(センターシャフト)、高橋と稲見はTB1(クランクネック)、若林は今年発売されたジュノTB2トラスパター(センターシャフト)を使用し、それぞれ結果を出している。 

みんなのゴルフダイジェストではたびたびこのパターについて取り上げてきたが、どうやらこのパターの人気は一過性のものでなく、ツアーのなかで定着しつつあるように見える。そこで改めて、パター好きとして知られ、とくにピンのアンサーへの造詣の深さから「アンサー博士」とも呼ばれるプロゴルファー・早川佳智に、トラスの特徴について聞いてみた。

画像: テーラーメイド「トラス」(写真/姉崎正)

テーラーメイド「トラス」(写真/姉崎正)

「トラスシリーズすべてにいえることですが、慣性モーメントが非常に高くてミスヒットに強いです。ネック部分がトラス構造になっていることによってインパクトがブレにくい、どこに当たっても同じような転がりをしてくれてミスに強いパターだと思います」

とはいえ、プロならばミスヒットといってもそう大きく芯を外すことはないはず。早川はトラスパターのメリットとしてもうひとつ「構えやすさ」と「ロフトの管理のしやすさ」ことを挙げる。

「ヘッドのヒール側にある目印がアドレス時に見えないように構えることで、スクェアに構えやすい『シーモア』というパターがありますが、トラスはシーモアに特徴が似ています。ネックが三角形のため、ハンドファーストに構え過ぎてしたらバックフェース側の(三角形の)面が見え、ハンドレートはその反対。三角形を目安にしてスクェアに構えられ、ストローク中も手首を使い過ぎていないかチェックすることができるんです」

画像: 2007年マスターズ覇者のザック・ジョンソンはシーモアを使用していた(写真は2007年のマスターズ 撮影/岩井基剛)

2007年マスターズ覇者のザック・ジョンソンはシーモアを使用していた(写真は2007年のマスターズ 撮影/岩井基剛)

そして、正しく構えることができ、正しくストロークすることができれば、つねに一定のロフトでインパクトを迎えることになり、転がりが一定となる。つまり、距離感が合いやすくなるのだ。

プロでもキャディに後ろに立ってもらってアライメントを確認することがあるように、プロであるほど厳密にセットアップできているかを気にするもの。それをパターが行ってくれるのは、高速グリーンで繊細なタッチを求められるプロにとってメリットだろう。

画像: ネック部分の三角形が「見えないこと」を目安にすれば、スクェアに構えられているか、ストローク中に手首を使い過ぎていないかチェックできるという(撮影/三木崇徳)

ネック部分の三角形が「見えないこと」を目安にすれば、スクェアに構えられているか、ストローク中に手首を使い過ぎていないかチェックできるという(撮影/三木崇徳)

慣性モーメントが高くミスヒットに強い。正しい構え、ストロークができているかをチェックできる。それに加えて、構えた見た目はすっきりしたデザイン。このメリットは、もちろんアマチュアも享受できる。

「多くのアマチュアゴルファーにオススメできますが、とくにブレード型のほうがイメージは出るけど、ミスヒットに強いマレットのほうが結果は出るというゴルファーはブレード型トラスパターを試す価値は十分にあると思います」

もともとは、まさに「ブレードが好きだが、マレットのほうが結果が出る」というジレンマを抱えていたダスティン・ジョンソンのために作られたというのがトラスの誕生秘話。DJと同じ悩みを抱えているゴルファーは、一度試してみるといいかもしれない。

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