フェースの開閉を抑えて体を回して球を打つ
近年プロの試合などで見かける機会が増えてきたのが、フェースの開閉の動きをほとんど使わずに体を大きく回すタイプのスウィング。PGAツアーではダスティン・ジョンソンやホアキン・ニーマン、日本ではアマチュアの中島啓太もそのようなスウィングをしている。
このような一昔前の常識とは異なるスウィングを原田はこう分析する。
「DJや中島選手のインパクトを見てみると体をめちゃくちゃ回していて、手元はアドレス時より少し高くなった状態。側屈が入ることで右肩が下がり、後方から見ると右手が左手よりも下側にあるように見えます。僕がゴルフを教わった時代では、インパクトはアドレスの再現なんて言われていましたが、彼らにはまるで当てはまらないですよね。今までクラブをリリースをしていた動きのぶんを体の回転で打っているので、要はここまで体を動かさないとそもそもボールに届かないスウィングなんです」(原田、以下同)
クラブの進化やスウィング解析機器の発達によってプロのスウィングがここまで変わった以上、アマチュアもこのスウィングを目指すべきなのだろうか。原田は「今後プロを目指そう、というジュニアゴルファーならこのスウィングを覚えても良いと思いますが、アマチュアにとって必要なモノかと問われたら、答えはノーです」と言う。
「というのも、とくにプロのゴルフスウィングってどんどんアスリート化しているんです。DJたちの体の回転で打つスウィングもその流れの一つで『より飛ばしに特化してなおかつ安定している、今のゴルフクラブに合ったキレイなスウィング』ですが、実現するためには前傾角度をキープしつつ大きく体を回すための体を作る必要がありますからね」
つまりアスリート並みの体作りをしていなければ、プロのスウィングをマネしても筋肉量の差で前傾角を維持できず体が起き上がり、ミスショットになってしまうというわけだ。
ではアマチュアでも手っ取り早くできる、飛ばしのエネルギーを生む動きとはなんなのか。原田はDJたちのようにフェースの開閉動作を抑えるのではなく、むしろ利用してヘッドを走らせていくのも一つの手だという。
「やり方はカンタン。スウィング時に体の正面側の筋肉、両太ももにグッと力を入れてみましょう。すると体の回転が自然と抑えられ、結果的に振られている腕・クラブ側の運動量が多くなり、フェースローテーションを活かしたスウィングを作ることができますよ」
動き的にはDJのスウィングとは対極、いわば“ノンアスリートスウィング”ではあるが、飛ばしたいアマチュアのためには有効な手段と言えるだろう。