昨今のドライバーは技術の進歩によってミスへのやさしさや飛距離性能も増している。しかしそれでもアマチュアにとってドライバーが「一番難しいクラブ」なのはなぜ? ギアライター高梨祥明が考えてみた。

ドライバーはミスに寛容になっている。狙ったところに飛ばせない理由は他にある

ゴルフクラブの話題は“ドライバー中心”で回っているといってもいい。しかし、長くても2年サイクルで巡ってくるドライバーのモデルチェンジに、“もういいよ、結局何使ったって一緒だから”と思い始めた人も少なくはない。我々、多くのアマチュアにとって、ドライバーはいつの時代ももっとも狙い通りに打つことが難しい、思うに任せないクラブだからである。

ではなぜ、いつまで経っても「ドライバーが難しい」のか。今日はそのあたりのことを考えてみたい。最新と呼ばれるドライバーはミスにやさしく、ボール初速も速く、適正スピンでボールを飛ばせるようにはなっている。だからといって思い通りに打つことができるかといえばそうではない。そのあたりが考え所となるだろうか。

ドライバーがいつまで経っても簡単にならない理由は、きっとシンプルだ。どのクラブよりもボールを遠くに飛ばすことができる。だからこそ、難しいのだ。

画像: 性能が進化している最新ドライバーでも我々アマチュアは難しいクラブだと感じてしまうのは、そもそもボールを遠くに飛ばすこと自体が難しいからだ

性能が進化している最新ドライバーでも我々アマチュアは難しいクラブだと感じてしまうのは、そもそもボールを遠くに飛ばすこと自体が難しいからだ

例えば、ドライバーショットで目標よりわずかに右にプッシュしたとする。その角度のまま真っすぐに飛び、150ヤード付近で落ちればギリギリ、フェアウェイキープ。200ヤードまで飛んでしまうと深いラフになる。さらにそのまままっすぐ飛んで250ヤードで林に到達し、300ヤードまで飛んでしまうと完全にOB。同じ右プッシュでも飛べば飛ぶほどそのブレ幅は大きくなり、目標から大きく遠ざかってしまうのである。

ドライバーが難しいのではなく、ボールを遠くに飛ばすこと自体が、“難しさ”の源だということだ。とくに、ボールに余計なスピンがかからず、芯で打った時と同じようなボール初速、打ち出し角度で真っすぐにボールを飛ばしてくれる最新ドライバーでは、よほどインパクトでシビアに、目標に対してスクェアにフェースを向けていく必要がある。明後日の方向に打ち出せば、そのまま真っすぐ明後日方面に飛び続けてしまう。それがブレない最新の特徴である。

ボールを遠くに飛ばせる可能性を手に入れたならば、同時にシビアな打ち出し方向の管理を考えなければ、最新飛び道具の進化を活かすことは難しい。何度もいうが飛ぶほどゴルフは難しくなる。それが大前提なのだ。

“難しい”ドライバーでも、100ヤードならフェアウェイヒットできる

PGAプレーヤーの凄みは、400ヤード先の“狙ったところ”に打つことができることだ。正確無比なインパクトがなければ、そんな先のターゲットにボールを運ぶことはできない。400ヤード飛ばすのがすごいのではなく、その先のフェアウェイの幅にボールを収めることがとてつもなくすごいことなのだ。

海外の選手はクラブを気に入った理由を問われた時、次のようにコメントすることが多い。

「このクラブは“ウインドウ(窓枠)”を外さない。だから安心して打てるんだ」

飛ぶ、飛ばないではなく、自分がイメージした空間に浮かぶ“窓枠”に、打ち出したボールが通過するかどうか。それが使えるクラブかどうかを判断する基準なのだという。飛び出した直後の方向と高さに気を配り、そこにボールを打ち出していく。アマチュアゴルファーでそれをイメージできる人は少ないと思うが、上手いプレーヤーほど400ヤード先ではなく、数ヤード先の“枠”にボールを打ち出すことを重視している。そのことを知っておいても損はないと思う。どんなロングパットでもとにかく数センチ先の“スパット”の上を通過させることが大切だと言われるが、ドライバーでもやることは同じなのだ。

いつまで経ってもドライバーが一番「難しい」。そう思うならば、練習場で100ヤードや150ヤードなど極めて短い距離をドライバーで打ってみるといいかもしれない。フェアウェイの幅を30ヤードと仮定した時、100ヤード先のその幅にドライバーでボールを運ぶことが果たして難しいだろうか? やってみれば、それはそんなに難しいことではなく、その程度の距離ならばボールの曲がりも少ないことに気がつくはずだ。難しいのはクラブではなく、距離なのだ。

100ヤードができたら次は150ヤード。そして180ヤード、200ヤードと距離を伸ばしていく。そういう練習をしていれば、否応なしに、明らかに確率が悪くなる飛距離の境界線が見えてくるはずだ。それが自分の力量で“枠”に収めることのできる、実用的な最大飛距離である。200ヤードでバラつき始めるならば、ラウンドでは180ヤードで打っていく。「身の丈にあった距離」でプレーするぶんには、ドライバーはそこまで難しいものではないはずだ。また、たとえ身の丈を超えた距離を狙う場合も、フェアウェイを外した時のことを想定して打つようになるため、大ケガをすることが少なくなる。

遠くにボールを飛ばす「最適条件」を最新ドライバーは作り出してくれるが、その真っすぐ弾道を「目標」に向けていくのは、プレーヤー自身の役割、技術である。まずは今の自分は何ヤードまでならフェアウェイを外さないで打てるのか? それを検証することから始めてみてはいかがだろうか。現状150ヤードなら、半年後は180ヤードにできるように頑張る、それが練習だ。ショップに行って300ヤード飛ばせるドライバーを探しているうちは、おそらくドライバーはうまくならない。300ヤード先の「枠」をとらえる技術は、ゴルフショップでは売っていないのだ。

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