アプローチとパターでゲームをつくる
先週の「ニッポンハムレディスクラシック」でプレーオフの末、堀琴音選手に敗れていた若林舞衣子選手が、今週は見事な勝利を収めました。産休明けでツアーに復帰し、20年ぶり6人目のママ優勝。そして先週の3ラウンド目以降、85ホールノーボギーのツアー記録も更新と記録づくめの勝利となりました。
そのプレーを振り返ってみましょう。若林選手は出だしの1番をバーディとし、ピン奥から3パットボギーの野澤選手をいきなり逆転し首位に立ちます。しかし野澤選手も立ち直り3番、4番と連続バーディを奪い再び首位に。
ところが6番ホールでは野沢選手が左の林に打ち込みダブルボギー。このホールをバーディとした若林選手が再び首位に立つという前半から目が離せない展開が続きます。
若林選手はノーボギー記録更新がかかった10番ホールをバーディとするなど快調に飛ばし、バックナインでは野澤選手をリードする展開が続きますが、1打差で迎えた18番でまさかのボギーを叩き、2週続けてのプレーオフへと突入します。そして迎えたプレーオフ2ホール目、2メートルのバーディパットを決めた若林選手が優勝を手にしました。
このときの気持ちを会見で「本当に解放された」と表現した若林選手。6月末に母親を亡くし、悲しみを背負ってのプレーだった先週にプレーオフで敗退し、今週こそ負けたくないと強い気持ちで臨んだ今週だったと言います。その気持ちが、初優勝を狙った野澤選手をわずかに上回った結果となりました。
終始安定したテンポで崩れる気配のないプレーぶり。もともとアプローチとパッティングで武器にゲームを作るプレースタイルに加え、ツアーに復帰する際にスウィングを改造し、トレーニングを積んで飛距離を伸ばしたことだといいます。
ただ、やはりノーボギー記録、そして優勝のベースになったのはショートゲームだと思います。なので、スタート前に行っていたショートゲームの練習について質問してみました。パッティングに関しては練習用の柔らかいシャフトのパターを使った練習をしているようです。
「練習ラウンドでいろいろなアプローチはやっているので、スタート前は基本となるピッチエンドランのアプローチだけ少しやります。パターは練習前にシャフトの柔らかい練習用パターを使って振り急がずに一定のリズムで打つ練習の後、スティックを使って打出しの確認をします」
自分のプレースタイルを認識してそれを磨いて武器にすること、優勝争いの緊張感の中で崩れないためのリズムの保ち方、積み重ねた経験を生かして優勝した若林選手のプレーは誰にでも参考にできるプレーだったのではないでしょうか。
惜しくも敗れた野澤選手も青木翔コーチの指導のもと自己最高位を塗り替え初優勝が視野に入ってきています。毎週のように繰り広げられる国内女子ツアーの熾烈なサバイバルゲームは数々のドラマを見せてくれます。今週の「大東建託・いい部屋ネットレディス」ではどんなドラマを見せてくれるのか引き続き注目していきます。