プロ2年目の24歳、コリン・モリカワが全米プロゴルフ選手権に続いて、またしてもメジャー初出場で優勝する快挙を成し遂げました。米国スタイルではないリンクスコースの全英オープンを初出場で制したことは、天候が荒れずに半袖でプレーできたことだけでは片付けられないことです。アイアンを変え、遅いグリーンのスピードに対応。前週のスコットランドオープンに出場したことで得た多くの学びを今週に生かしました。
前半7、8、9番と3連続バーディを奪い首位を独走し、後半に入ってもモリカワのプレーは変わりませんでした。クラッチパットを決め、ボギーを打たず、14番のパー5ではしっかりとバーディ。最終ホールまで一切のスキを見せませんでした。
ゆっくりとしたテークバックからフィニッシュに向けて振り抜く独特のテンポが一切崩れなかったことは見ていてみなさんも感じたのではないでしょうか。そのスウィングを連続写真で見てみましょう。
まずはアドレスからトップにかけて。画像A左のアドレスのポジションを見ると、左手がターゲットを向くようなややウィークグリップで握っていることがわかります。
そこから、両ひざの間隔を変えずにゆっくりとしたテンポでテークバックします。画像A右のトップの位置では左手首が手のひら側に折れる掌屈と呼ばれる動きが入っていることがわかります。フェース面を閉じる方向に動かし、ボールをつかまえる動きです。
続いては画像B。ダウンスウィングでの動きを見ていきましょう。
まず、画像B左は切り返し直後です。掌屈の動きが強く入りながら、左足を踏み込んで左のわき腹から切り返しています。上半身は開かずに右サイドに残ります。プレインパクト(画像B右)では左手の甲が地面を向くように下りています。この左手甲はインパクトではターゲットを向き、左手の甲とフェース面がリンクするように使っていることが見て取れます。
画像Cはフォローサイドです。インパクト直後の画像C左で、左手甲はターゲット方向を向いており、しっかりとボールを押し込んでいますが、画像C右ではしっかりと左手の甲が地面を向いています。このようにしっかりと腕をターンさせることで左わきが締まり、大きなフォローへとつながっています。
モリカワは、ダウンスウィングの早い段階でフェース面をボールの方向に向けるローテーションの少ない使い方をしながら、フォローではしっかりと手を返す動きが入っているのが特徴。
このように、フェースをターゲット方向に向ける掌屈動作を入れながら、左腕がフォローにかけて反時計回りに回ることで、ダウンスウィングではフェースがスウィングプレーン上でスクェアをキープしながら動くことになります。
左手のグリップの握り方にもよりますが、ボールがつかまらない人は、掌屈動作と左手の甲がフォローで地面に向く動きをセットで意識することで、強い弾道が打てるようになる可能性があります。
24歳にして全米プロと全英オープンのメジャー2勝を挙げたコリン・モリカワ。ジョーダン・スピース、ジャスティン・トーマス、ジョン・ラーム、ブライソン・デシャンボーそして次のメジャー優勝を狙う松山英樹含めた若手メジャー覇者の争いはますます激化してくることでしょう。東京オリンピックで見られることを楽しみにしています。