コンパクトかつやさしい「i59アイアン」
まずはi59アイアンから。2016年に発売された「iブレード」の後継にあたり、上級者が好むコンパクトな見た目を実現しつつも寛容性も併せ持ったモデル。
ボディ素材はカーボンスチール、内部インサートはアルミ、フェースはステンレススチール、さらにトウ側には高比重ウェートを搭載と、異素材を組み合わせた設計が特徴的だが、見た目に関してはどうだろう。
「スッキリした顔で『こんな弾道で打ちたい』と思った通りに構えやすいですね。やさし過ぎるモデルの場合、見た目が少しボテッとしていて操作性に関してルーズな印象を持ってしまうのですが、i59はそれがないのが良いですね」(中村、以下同)
試打では7番を打ってもらったが、ドライバーの平均ヘッドスピード46m/s前後の中村が打って、トータル飛距離は平均155ヤード、スピン量は6800回転、打ち出し角は約19.4度という結果に。
「フェース、ボディ、内部のインサートとそれぞれ素材が異なるので打感に硬さがあるのかなと思いきや、そうでもないです。しっかり中身が詰まっているヘッドで球を押している感覚、と言えば良いでしょうか。iブレードと比較すると少し硬めですが、思ったより柔らかいという印象です。スピンもかかるし操作性も非常に良く、本当にマッスルバックのような感じなんですが、球の上がりやすさやちょっと芯を外したときにミスにならない辺りにやさしさを感じますね」
寛容性に関しては「2018年発売のi210と同等といった感触。インパクト付近でのフェース開閉のゆるやかさ、安定感がすごくあるような感じがします」と中村。意図的にスライス気味に打つなどスウィングに工夫を加えても「インパクト時の手元へのフィードバックもしっかりあって、競技志向な性能のモデルならではの部分が出ています」という。
「もっと操作性を求めたいなら2019年発売のブループリントがベストな選択にはなりますが、i59はコンパクトかつちょっとミスしたときにある程度助けてくれる寛容性がポイント。見た目にこだわりつつも少しやさしさも欲しいという方にピッタリのアイアンだと思いますよ」
操作しやすくスピン性能も高い「グライドフォージドプロウェッジ」
続いては、グライドフォージドプロウェッジ。2018年発売の「グライドフォージドウェッジ」の後継にあたり、その名にプロと冠する通り、スピン量性能をさらに向上しつつ、操作性も高めたモデルとなっている。
「グライドフォージドプロはかなりコンパクトな見た目ですが、特徴的なのがリーディングエッジが丸みを帯びている点。この丸みがあることで、フェースを開いて使う際にも構えやすくなっています。操作性を重視するモデルならですが、一方でトップブレードが少し厚くなっていて重心が低すぎないようにも設計されていて、寛容性も感じます」
試打では58度(Sグラインド)と、往年の名器「EYE2」を踏襲した59度(Sグラインド)の2モデルを打ってもらったが、両方とも80ヤードの距離を打った際のスピン量はすべてのショットで高スピンのひとつの基準となる1万回転超え。30~40ヤードの短い距離のアプローチでも、8800回転とスピン性能の高さをうかがわせた。
「フェース面には細かいグルーブが入っていて、ビタッとフェースに食いついて、しっかりスピンがかかった感触が手元に残りますね。打感も柔らかく、フェースを開いてボールを包むように打ちやすいです。スピン量も1万回転を当たり前のように超えてきますし、本当にかけようと思えばいくらでもスピンをかけられる、そういうウェッジに仕上がっています」
59度のモデルに関しては「ハイトウ形状で、フェースの先が逃げるような形になっていてEYE2らしさを感じます。他のロフトのモデルと比較して、よりフェースを開いて斜めに使うような打ち方がしやすいですね」という。
旧モデルより確実に進化しつつ、競技志向のゴルファーが求める性能と寛容性を併せ持った両モデル。コントロール重視モデル=中・上級者向け、といった固定観念にとらわれず一度試打してみてはいかがだろうか。