バレーボール元日本代表山本隆弘はベストスコア81の腕前
高島:山本さん、私現役時代にファンでした!
山本:ありがとうございます。
高島:ゴルフはどれくらいされるんですか?
山本:現役時代の27歳から、もともとはぎっくり腰のリハビリも兼ねてだったんです。平均スコアは80台後半から90台の前半で、ベストスコアは81です。なんとか70台を実現したいのと、201センチの体格に見合った飛距離が欲しいと思いまして、高島さんに弟子入りさせていただきました。
高島:よろしくお願いします! ではさっそくスウィングをチェックしてみましょうか。
――山本がスウィングを披露するも、1発目、2発目は右、3発目は引っかけという結果に。スウィングを間近で見た高島が問題点を分析していく。
高島:拝見した限りではフェースが開いてインパクトを迎え、右に飛んでいきそうな感じのスウィングだと感じました。実際最初の2発は右に行ってしまっていますね。
山本:「フェースが開いてインパクトしそうなスウィング」っていうのはどこが原因なんですかね。
高島:山本さんの場合、アドレスで左手のフックグリップが強く、右腕が真っすぐ入っていることが原因です。
山本:でもフックグリップって球がつかまりやすい握り方なんじゃないんですか? それが逆にフェースが開くって、どういうことなんでしょう。
高島:まず解説の前に「背屈」と「掌屈」というスウィング中の左手首の動きについて説明させてください。スウィング中に左手の手首が甲側に折れるのが背屈。背屈するとフェース面はオープンになります。逆に左手の手首が掌側に折れるのが掌屈。この場合フェース面はシャットになります。
山本:なるほど。
高島:そして山本さんのようにフックグリップが強すぎると背屈してフェースが開くので、インパクトで右手を返して無理やり閉じているんです。もちろんタイミングが合えばドローが打てますが……。
山本:タイミングを間違えば右へも左へもミスしてしまうのか。
高島:そうです。まずグリップを見直しましょう。そうすればバックスウィングも変わります。フェース面が閉じた状態でインパクトできれば、より強いストレートボールが打てて飛距離もアップしますよ。
山本:おぉ! やりましょう。
高島:グリップを作る際にシャフトが体の中心線にある時はフェースが閉じた状態で、このポジションで握ると左手はフックグリップになります。この状態から、フェース面を真っすぐにするとシャフトは体の中心よりも左に傾いた状態になり、このポジションで握ると左腕が真っすぐに伸びた状態になります。この時に、右手首は背屈していて、親指と人差し指でできるラインが右肩を指すくらいの角度になります。
山本:さっきの自分の構えとは逆に、左腕が真っすぐになるわけだ。
高島:そうです。そして、クラブを握る時に左腕は内旋するようにして構えます。イメージとしては、左の肩甲骨を上げて左わきをちょっと開く感じです。右腕は腕を外旋しながらシャフトにあてがいつつ、ひじから先の前腕を内旋させましょう。
山本:これもさっきの自分の構えの時は、左わきが締まって窮屈だったからまったく逆の感覚だね。
高島:ではグリップを直したところで続いてバックスウィングも見直してみましょう。
山本:どこに気を付ければ良いんでしょう。
高島:手ではなく肩でバックスウィングするイメージが大切です。以前の山本さんは、バックスウィングで手を体の後ろに上げていたので肩があまり回っていませんでした。なので、手を背中側ではなく飛球線後方に押し出すように動かす意識を持ちましょう。そして手元を体の正面にキープしながら肩を回していきます。イメージは「手は前、クラブヘッドは後ろ」で手は持ち上げない、です。
山本:え、そうなの。トップは高いほうがいいのかと思った。
高島:体は回って欲しいけど、腕はそんなに後ろに行って欲しくないんですよね。無理に腕を上げると左手が背屈しやすいのでNGです。バックスウィングが十分に行われたという目安として「重心が右腰に乗った」という感覚を覚えてみてください。今までは、手でインサイドに引いていたので左肩が落ち、体の軸が左に傾くことで右腰がスウェイしていました。でも肩が回れば軸を真っすぐにキープしながら回れるので、重心が右の股関節が入ってくるはずですよ。
山本:――あ、確かに右の腸腰筋に乗った感じがあったね。右サイドに重心が乗ってくればパワーも溜まるし、あとはダウンスウィングで左に戻していくだけでいいから、スウィングが簡単になるね。
高島:腰の動きがかなり良くなりましたね。
山本:トップで右腰に乗るもんね。これ15年来の悩みだったのよ。いろいろ試行錯誤をしていたんですが、グリップの握り方を変えるだけでバックスウィングも変わって、右腰に乗せていけるトップが作れたのでビックリしました。ありがとうございます!
撮影協力:PGMゴルフアカデミー銀座
撮影:野村知也