松山英樹は3日目を終えて13アンダー。明日の最終日は最終組でプレー
松山英樹選手が金メダルに大いに期待がかかる位置で3日目のプレーを終えました。
今日はサスペンデッドとなったセカンドラウンドの17番ホールからスタート。9アンダーまでスコアを伸ばすと、ザンダー・シャウフェレ(アメリカ)、カルロス・オルティス(メキシコ)と同組の最終組で3日目のプレーをスタートしていきました。
フロントナインは出だしこそボギーとするものの、その後はバーディを重ねて8番までに3つスコアを伸ばす上々の展開。以降はパーを重ねるやや苦しい展開となりましたが、17番でバーディを奪い、首位のシャウフェレとは1打差の単独2位でホールアウトしました。
今日に限らず、この3日間を通じて松山選手はアプローチの技術が本当に素晴らしい。芝の密集度合いや硬さ、そしてもちろん残り距離やピンポジションによって適切な落とし場所を設定し、スピンで止めたり、転がしたりと自在でした。好調のパットとあいまって、難しいピンチも着実にしのいでいました。
スウィング面に目をやると、右わきがしっかりと締まっていることで腕と体の一体感を持たせ、それがアイアンの距離感の良さにつながっているように思います。今日は後半疲れからかショートアイアンが少し飛びすぎるケースも散見されましたが、明日にかけて修正してくるはずです。
風もほとんどなく、蒸し暑さはかなりのものだったはず。そんな中、朝に2日目の残り2ホールをプレーして1アンダーでプレーし、そのあと最終組でプレーですから体力的には相当きついはずですが、最後まで集中力を切らすことがありませんでした。
試合自体を俯瞰してみると、霞ヶ関CC東Cのグリーンは硬くなく、ラフからでも止めることができていました。そのため、トミー・フリートウッド(イギリス)、ロリー・マキロイ(アイルランド)といった攻撃力の高いプレーヤーが上位に進出してきています。この流れは明日も変わらないはず。攻めなければ上に行けない展開になるでしょうし、攻め続け、それが成功した選手が表彰台に立つはずです。
リーダーボードを見ると、首位のシャウフェレが14アンダー。松山選手は1打差ですから13アンダー。トップと5打差の9アンダー、11位タイグループくらいまではチャンスあり。
個人的に松山選手と金メダルを争うライバルとなりそうだと感じるのが、まず首位のシャウフェレ。そして同組でプレーしたカルロス・オルティスは体力的にきつそうに見えず怖い存在。
そしてマキロイはパッティングが好調で、前回のリオ大会をジカ熱への懸念から欠場したことを後悔していると発言しており、待望のオリンピックの舞台でメダル争いに絡んでくるような気がします。
さらに、明日松山選手の最終組でプレーをともにすることになるポール・ケーシー(イギリス)も静かにひたひたとトップに迫りそうな雰囲気があります。前回リオ大会では同じ英国のジャスティン・ローズが金メダルを獲得していますから、英国の2大会連続金メダルにモチベーションも高いはずです。
今日はイム・ソンジェ選手が8アンダー63と爆発してリーダーボードを駆け上がりましたが、同じように早めのスタートから伸び伸びプレーして爆発的スコアを叩き出してメダルに絡む選手が出てくる可能性も大いにありそうです。
とはいえ、マスターズチャンピオンである松山選手が自国開催の試合で1打差2位タイにいるわけですから、他の選手から見たら松山選手はほかの誰より怖い存在であるのは間違いがありません。
その松山選手は、ホールアウト後のテレビのインタビューに応えて「いい位置で3日間追われたので明日はやりきるだけ。それ(金メダル)は考えず自分のできることをした結果がそうなればいい」といった趣旨の発言をしています。
松山選手が自分の力を出し切って18ホールをプレーすれば、その胸に輝くのは、おのずともっともいい色のメダルになるのではないでしょうか。
撮影/服部謙二郎