楽天スーパーレディース最終日。2日目を終わってトップは13アンダーで高橋彩華選手。しかし、連日爆発的なスコアが出ていることを考えると、まだまだ誰が勝つかわかりません。下からものすごい勢いでスコアを縮めてくる選手が出てくる可能性があり、いつの間にかトップに立っているなんてこともあるので、どこの組に注目すればいいか、とても迷う状況……。
今回のような状況で“決め打ち”して最終組だけにつくのはあまりにもリスクが高いので、最終組に注意しながら、とりあえず可能性があると思われる組についていくことから最終日はスタートしました。
予想に反して、下から猛追してくる選手はほとんど現れません。そうなると最終組の様子が気になるので、最終組をじっくり見ることにしました。首位でスタートしていった高橋選手は、3番、4番で連続バーディを奪い幸先のいいスタート切ります。その後は持ち味であるはずのショットに苦しみながらも、必死にパーを拾って耐えていましたが9番でついに、この試合初めてのボギーを叩いてしまいます。そこで流れが変わったのか、10番でもボギー。今年に入って4回目の最終組でしたが、またしても初優勝には一歩届かず……。
高橋選手を指導する奥嶋誠昭コーチが「高橋の技術はピカイチ。ツアーでもトップクラスだと思います。あとは、優勝争いになったとき、いかに自分のプレーを貫けるか。自分自身で乗り越えていかないといけない部分です」と以前話していました。優勝争いは誰もが経験できることではありません。高橋選手にとって、きっとこの経験が生きる日が来るはずです。
高橋選手に代わって主役に躍り出たのは、吉田優利選手でした。12番でバーディを奪うと、そこからなんと5連続バーディ。この日の吉田選手は本人も話していましたが、とにかくショットがよかったです。
本人は「私は、パットが得意なので、とにかくバーディチャンスにつける回数を増やすことを課題としています。パーオン率を上げることが上位で戦うには必要不可欠。ですが、今回に限って言えば、そのことを考えなくていいくらいショットの調子がよかったです」と話していました。吉田選手は一気にトップに立ち、その勢いのまま後続を突き放して初優勝を手にしました。
吉田選手はアマチュア時代、日本女子アマを制し、ナショナルチームにも選ばれていた実力者です。同年代の古江選手や西村選手が優勝を挙げていることを考えると、プロ入り2年目での優勝は少し遅いような気もしますが、それについて吉田選手は次のように話してくれました。
「同年代の活躍は素直に嬉しく思います。彼女たちの活躍が焦りにつながることはありませんでした。まだ2年目ですし、決して遅いとは思っていません。このタイミングで優勝できたことは私にとってとてもよかったです。取り組んできたことが結果となって表れてくれたので。信じて練習してきてよかったです」
なんともしっかりとしたコメントで、思わず感心してしまいました……。自分のやるべきことを正確にとらえ、考え、実行できる。さらに、どんな自分になりたいか、明確にイメージできることが吉田選手の強みです。今回も「優勝したときのことをずっとイメージしていた」と話すように、ショット力に加え、冷静に自分を客観視できる“頭の良さ”も勝利の要因ではないでしょうか。