「ベンタス ブルー」よりもつかまって球が上がる
フジクラのスピーダーといえば「スピーダー エボリューション」のシリーズが7代目まで発売されていますが、新モデルはエボリューションの8代目ではなく「スピーダーNX」。エボリューションとは一線を画したモデルとして登場しました。
日本と米国の開発チームが共同作業したというこのシャフトは、手元と先端側のねじれ剛性を高め、中間部をゆるめた剛性分布に、その特徴が表れています。手元と先が硬く、中間部分がしなる、いわゆる中調子シャフトということですね。
その試打会に参加し、50グラム、60グラムの各フレックスを打ち比べましたが、共通しているのは球が上がりやすくつかまってくれるところ。先調子のシャフトによく見られる特徴を持たせながら、つかまり過ぎないところが印象的でした。
テーラーメイドSIM2マックスの10.5度のヘッドを使用し、試打会場に設置されていたシミュレーションゴルフの計測画面を見ると、スピン量は2796回転/分、打出し角は15度、ボール初速は69m/s、弾道の高さは40.8ヤードを記録しました。球筋はドロー傾向です。
これを私のいつもの計測データと比較すると、スピン量はやや少なめで、打ち出しはやや高め。スピンを抑えながら打ち出しを高くして軽いドローボールで飛距離を稼げました。ヘッドスピード46.5m/sで数値が良かったのは60グラム台のSフレックスのモデルでした。
私は普段手元調子系のシャフトを使用しているせいか、中間部のねじれ剛性をゆるめてあることでしなりを感じやすく、大型ヘッドでもオートマチックに球をつかまえてくれる感触がありました。女子ツアーの選手が手元調子の「ベンタス ブルー」から移行することもよく理解できます。
女子ツアーでは50グラム台のS、SR、Rフレックスの使用がほとんどで、概ね飛距離と方向性が高まる結果になっているといいます。一方の男子ツアーでは、しっかりとシャフトに負荷をかけてしならせることができるので、手元調子系のシャフトが好まれることから「ベンタス ブラック」の使用率が高いと担当者は教えてくれました。
そう考えると、ハードヒッターの男性ではややつかまり過ぎる傾向になるかもしれませんが、一方で切り返しがクイックではないスウィンガータイプで球が上がりにくい、右へのミスが多いというタイプには最適解になるかもしれません。一度試してみてはいかがでしょうか。