「今回のオリンピック、注目プレーヤーはたくさんいますが、一番は畑岡奈紗選手だと私は思います。彼女は今年の全米女子オープンで笹生優花選手(東京オリンピックにはフィリピン代表として出場)とのプレーオフの末に敗れ、悔しさを味わっています。それもあって母国開催のオリンピックにかける思いは強く、モチベーションも上がっているはず。さらに、7月に開催された米女子ツアーマラソンクラシックで2位に6打差をつけて優勝。調子が上向きなところに結果も残しましたから、きっとさらに強い彼女を見せてくれるのではないかと期待しています」(東尾、以下同)
東尾はもう1人の日本代表選手である稲見萌寧も「日本のコースに慣れていますし、2021年には国内で5勝を挙げています。期待値は高く、非常に楽しみな選手です」とメダル争いに絡んでくると予想する。それは「霞ヶ関CCが開催コースだから」という理由もあるそうだ。
「私のジュニアの時代から、夏の『日本ジュニア(ゴルフ選手権競技)』は霞ヶ関CCで開催されることが多く、『霞』でいい成績を残すことはジュニアゴルファーにとって大きな目標のひとつです。だからこそ、オリンピックがその『霞』で開催されることはいい意味での緊張感を彼女たちに与えてくれるはず。コースセッティングは違っても、日本ジュニアでコースを経験しているということは”慣れ“という意味でも有利になると思います」
では、そんな“地の利”も含めてメダルを争う活躍が期待される日本勢二人のライバルになるであろう選手は誰か?
「笹生優花選手は外せませんよね。飛距離やショートゲームの正確性だけでなく、メジャーを制したことでさらに自信がついていますから、メダル争いに絡んでくるはず。それと今年調子のいいネリー・コルダ(アメリカ)、大きな大会で強さを発揮するベテランのパク・インビ(韓国)、畑岡選手同様に全米女子オープンの借りを返すという意味ではレクシー・トンプソン(アメリカ)にも注目しています。ただ、笹生選手を除いて、彼女たちは日本の夏の暑さに慣れていないはずですから、そこは不安材料ですね」
最後にひとり、ダークホース的な注目選手を挙げくれた。それが、米女子ツアー未勝利ながら、直近5試合すべてで15位以内と安定した成績をみせるレオナ・マグワイア(アイルランド)だ。
「彼女は2018年2月にプロ転向するまでアマチュア世界ランク1位を135週間ずっと守ってきた選手です。ショットで着実に攻めていくプレーヤーですから、霞ヶ関CCと相性もいいはず。他の外国選手同様に暑さは心配ですが、国を代表して出場するオリンピックという大舞台でどんなプレーを見せてくれるかが楽しみです」
畑岡、稲見、そして笹生や世界トッププレーヤーらの白熱する戦いが予想されるオリンピック女子ゴルフ。メダリストの称号をつかむのはどの選手か、各選手が掲げるメダルの色は何色か? 楽しみにしたい。
撮影/服部謙二郎