オリンピック男子ゴルフの興奮も冷めないうちに女子ゴルフが初日を迎えました。35か国から60名の代表選手が集まっていますが、世界ランクの上位選手がこぞって出場していますので見どころのある4日間になりそうです。
7時30分、オリンピックの女子ゴルフが稲見萌寧選手のティショットで幕を開けました。「緊張せずに楽しめた」という一打は稲見選手らしいしっかりと振り切ったナイスショット。調子の良さを感じさせます。
ただ、次にグリーンをとらえたセカンドショットを見ると、男子競技よりもむしろグリーンが硬くスピードもあるように見え、スコアはそこまで伸びないように思えます。
稲見選手は2番でバーディを先行させますが3番、4番でボギーを打ち前半を1バーディ2ボギーの1オーバーで折り返します。ショットの調子は上々で、アプローチもグリーンのタッチに合わせています。後半は14番のパー5でバーディ、18番パー4のセカンドでは164ヤードを30センチにつけるOKバーディ。3バーディ2ボギーのトータル1アンダーでフィニッシュしました。惜しいバーディパットがいくつもありましたので明日以降はスコアを伸ばせそうな内容でした。
ラウンド後の会見では昨日までのグリーンコンディションについて、「びっくりするくらい硬くなっていて、練習グリーンとも違っていたので数ホールはタッチを合わせるのが難しかった」と話していました。一方で「予選落ちがないので気楽にできた」とも話していました。大舞台でも気負わずにプレーできる稲見選手の“らしさ”が光ります。
一方の畑岡奈紗選手は、世界ランク1位のネリー・コルダ(アメリカ)、2位のコ・ジンヨン(韓国)との組み合わせで、出だしのホールでティショットを左に曲げ、緊張を感じさせました。
1番をボギーとし、6番、8番でバーディを奪い1アンダーで折り返します。今日は後半もショットが定まらず、後半10番でボギー、12番パー4では3打目でグリーンに乗せるとそこから3パットのダブルボギーとします。
しかし、ここからショットを立て直し14番から3連続バーディを奪ったのはさすが。17番、18番もバーディチャンスにつけますがそれぞれパーで終え、5バーディ2ボギー1ダブルボギーのトータル1アンダーでフィニッシュしました。
インパクトでジャンプする動きが特徴的な畑岡選手のスウィングでしたが、優勝した7月の米ツアーではその動きが少なくなり、今大会でも下半身の落ち着いた使い方が見て取れました。
前半にショットが乱れた原因を終了後のインタビューで「テークバックが長くなりすぎていてショットのタイミングが合わないところがありました。それをハーフショットするようなイメージで打ったら所々いいショットが出るようになった」と話しました。この修正力の高さが畑岡選手の真骨頂ともいえます。後半に見せてくれた持ち味のショット力を生かし、明日以降もスコアを伸ばしてくるでしょうね。
稲見選手のキャディを務める奥嶋誠昭コーチによると、グリーンに硬さはあるが上位選手は飛距離が出るのでそこまで影響はないだろうと言い、優勝スコアは男子と同様の18アンダー以上のスコアになるだろうと予想しています。稲見選手の終了後の会見でも飛距離の重要性を話しました。
「同組の選手がめちゃくちゃ飛ばし屋で、海外に行くにしても行かないにしても自分の飛距離は上げていかないと日本ツアーでも苦しくなるかなと思った。改めて、頑張って飛距離アップしないとなと感じました」
稲見選手と同組のマリア・ファッシ(メキシコ)選手の飛距離は米女子ツアーのスタッツで270ヤードを越えランク5位ですからワールドクラスの飛ばし屋。稲見選手は早くも海外選手に刺激を受けたようです。
首位は5アンダーでマドレーネ・サグストロム(スウェーデン)、1打差にネリー・コルダら、2打差にコ・ジンヨンらが続きます。男子同様最後まで目が離せない展開になりそうです、あと3日間最後まで見届けましょう。
撮影/服部謙二郎