今年4月からリニューアルオープンをした茨城県水戸市にあるゴルフ練習場「ROYALGREEN Mito」。リニューアル後、来場者の56%が40代以下と若い世代を中心に人気を集めている。ゴルフ練習場というと年齢層の高めのゴルファーが多い印象だが、若い世代に人気の理由は?

オジサンゴルファーがひとり黙々と球を打つ。ゴルフ練習場にはどうしてもそういうイメージがある。それを脱却すべく「ロイヤルグリーン」から「ROYAL GREEN Mito」へとリニューアルした結果、60代~が中心だった顧客層がグッと若返り、約56%が20〜40代、そのうち15%が女性になったという。

では、いったいなにをどうしたのか? 運営する株式会社社ウィルトラストの代表取締役・礒﨑博文氏に話を聞いてみた。

「ロイヤルグリーン水戸は平成元年にオープンした『ザ・練習場』でしたが、リニューアルオープンした今は『ゴルフ練習場をやめました』というキャッチコピーを掲げています。ゴルフ人口を増やしたいという思いから、ゴルフに興味がない人たちが行きたくなるような場所を作ろうと今回のリニューアルオープンに向けて準備をしてきました」(礒﨑、以下同)

とはいえゴルフに興味のない人がゴルフ練習場へ足を運ぶのはハードルが高い。そこで礒﨑氏は、米国を中心に海外で広く若者に支持され始めたエンタメゴルフ施設「トップゴルフ」を研究。

画像: 「ROYAL GREEN Mito」はリニューアル後、約56%が40代以下と顧客層が若返った。一体なぜか、その秘密は?(写真提供/ROYAL GREEN Mito)

「ROYAL GREEN Mito」はリニューアル後、約56%が40代以下と顧客層が若返った。一体なぜか、その秘密は?(写真提供/ROYAL GREEN Mito)

トップゴルフは、打席でゲーム感覚で練習ができたり、食事やお酒、さらにはゴルフだけでなくビリヤードなども楽しめるという複合施設で、仲間や家族で楽しめる。とはいえ、その世界観を日本に持ってくるだけでは既存ゴルファーに受け入れられないため、日本版かつ茨城県で受け入れられる仕掛けを作ったという。

そのひとつが「既存ゴルファーたちの打席」と「エンタメ要素が強い打席」と目的によってエリアを明確に分けている点だ。

「1階はいわゆる通常の打席で既存ゴルファーが集中してゴルフの練習ができる空間にしています。その一方で、2階は通常4打席配置できるところ2打席にして、家族や仲間で使用できるエリアを用意。ゴルフの打席以外にもカフェやバー、ダーツやビリヤードなど『気軽に立ち寄れるような空間』を作りました。また個室はフリードリンク付きで、夜は食事やお酒も楽しめることから、日中は家族連れ、夜は若い世代を中心に人気を集めています」

いわば、日本式の「ザ・練習場」とアメリカ式の「エンタメ型レンジ」のハイブリッド。それは、全打席に導入した弾道計測ができるトップトレーサー・レンジの“モードの説明”にも表れている。

画像: 1階は既存ゴルファーが楽しめる空間、2階はエンタメ要素を強いエリアを作ったと礒﨑氏。ゴルフ以外にダーツやビリヤード、そして子供が気軽に遊べるスナッグゴルフコーナーも(写真提供/ROYAL GREEN Mito)

1階は既存ゴルファーが楽しめる空間、2階はエンタメ要素を強いエリアを作ったと礒﨑氏。ゴルフ以外にダーツやビリヤード、そして子供が気軽に遊べるスナッグゴルフコーナーも(写真提供/ROYAL GREEN Mito)

1階打席の利用者には番手ごとの飛距離を計測することでスコアアップや上達につながるように、2階打席の利用者にはドラコン、ニアピン対決やシミュレーションゴルフなど、エンタメ要素を中心に説明をしているため、顧客満足度も高いそうだ。結果、今までは考えられなかったような“現象”も起きたという。

「僕たちはインスタグラムも行っていますが、自分たちで投稿を頑張るのではなく来場してくれた方に投稿してもらう数のほうが圧倒的に多いです。その要因のひとつとして茨城県出身のインスタグラマー・西野沙瑛さんとイベントを行ったり、こだわった店舗内観のデザインや、インテリアなど、写真を撮りたくなるような空間を作りました。そうすることで若い世代を中心に当店の情報が早くリーチする。その結果、20代30代のような若い世代の来場者数が増えたと考えています」

そして、女性向けアメニティも女性に人気のものを揃え、館内の香りにまでこだわるなど、若者対策・女性対策を徹底している。結果、SNSを通じて若者がやってくるという、理想的状況が生まれているようなのだ。

「若者のゴルフ離れ」が一転、折からの「若者のゴルフブーム」に沸くゴルフ界。このブームが一過性のもので終わらないためには、このような、若者のライフスタイルに寄り添う施設の増加が、今後求められるかもしれない。

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