テーラーメイドが2021年8月6日に発表した最新アイアン「P790」とウェッジ「ミルドグラインド3」の性能は? プロゴルファー・中村修が試打レポート。

中空構造に複合素材がさらに進化

中空構造に複合素材を採用し人気を博したテーラーメイド「P790」アイアンの2021年モデルが発表されました。こうした複合素材の中空アイアンは、最近発表されたピンの「i59」、タイトリストの「Tシリーズ」などと同じく、各メーカーが総力を挙げて開発しているカテゴリーになります。

中空構造により余った重量を比重の重いタングステンに置き換えソール部に設置することで、低重心化。慣性モーメントを増大させてミスヒットに強く、フェースの素材も薄くしてボール初速を上げ、飛距離も出せるところがメリット。

形状はオーソドックスなブレード形状でシャープ。なのに中身はまるでウッドと同じような構造を持っているのが最新アイアンの特徴です。

新しい「P790 」を見てみると、31グラムものタングステンをソール部に設置。低重心化することでボールの上がりやすさを向上させ、スウィートエリアを拡大しミスヒットに強くなっています。さらに、フェースを薄くして反発力を高めることで飛距離性能も向上したといいます。

素材はボディは軟鉄で、フェースには強くて粘りのあるクロモリ鋼を採用しています。7番のロフトは30.5度と、”ちょい飛び系”に分類されるカテゴリーになるでしょう。タイトリストのT200の7番が31度、T300が29度なのでちょうどその中間ですね。また、キャロウェイのAPEXアイアンが同ロフト。ピンのG425アイアンが30度と、比較対象になりそうです。(ちなみにi59とT100の7番のロフトは34度です)

デメリットはというと中空構造ならではのウッドような打感になってしまう点が挙げられますが、そこは各メーカーも様々な素材を組み合わせて打感を向上させてきていますので、マッスルバックやセミキャビティなど“鉄の塊”系のアイアンと遜色ない感触を得ることができるようになっています。

画像: 中空構造に複合素材を組み合わせたテーラーメイド「P790」の2021年モデル

中空構造に複合素材を組み合わせたテーラーメイド「P790」の2021年モデル

試打会ではテーラーメイドの契約選手3名のデモンストレーションがありましたが、3選手とも普段使っているモデルと同じロフトで打ち比べても5ヤード以上の飛距離アップ、球の上がりやすさからやさしく打てると高評価。特にコースで5番アイアンを打ったジョン・ミジョン選手は、そのやさしさに驚いていました。

私も実際にコースで試打してみたところ、ロフトを考慮しても高弾道でよく飛びます。少しくらい当たりが悪くてもだいたい狙った方向に飛んでくれますので、ミスをカバーしスコアに直結するアイアンだと言えそうです。

ただ、数ヤードを打ち分けるシビアなゴルフを求めるプレーヤーにとっては、打感のフィードバックに多少の慣れは必要でしょう。しかしロングアイアンでの寛容性は特筆すべきものがあるので、組み合わせてセッティングするのも面白いと思います。

画像: MG3を手にスピン性能の高さを高評価したテーラーメイド契約の左から山路晶、石坂友宏、ジョン・ミジョンの3選手

MG3を手にスピン性能の高さを高評価したテーラーメイド契約の左から山路晶、石坂友宏、ジョン・ミジョンの3選手

続いて、ミルドグラインド3(以下MG3)ウェッジです。フェース面だけノーメッキなのは変わりませんが、フェース面に高さ0.02ミリ、幅0.25ミリの独自の突起を搭載(ルール適合)しフルショット以外でのスピン性能を向上させたといいます。肉眼で見てわかるものではありませんが、デモンストレーションでは、水で濡らした状態と乾いた状態で打ち比べてみてもスピン性能に大差がなかったのでその効果はありそうです。

石坂友宏選手は構えやすさと打感、そしてスピン性能の高さがツアーのグリーンで大きな武器になると早くも実戦投入を決めたようです。

画像: 「ミルドグラインド3」はノーメッキのフェース面に高さ0.02ミリ、幅0.25ミリの独自の突起を搭載しスピン性能を高めた

「ミルドグラインド3」はノーメッキのフェース面に高さ0.02ミリ、幅0.25ミリの独自の突起を搭載しスピン性能を高めた

ロフトのラインナップは50度から2度刻みで60度までラインナップされています。そして56・58・60度はバウンスタイプはロー、スタンダード、ハイの3タイプが用意されていて、入射角などのスウィングタイプで選んだり、コースによって使い分けることもできそうです。ソール部分はミーリング加工仕上げになっていますので、使いこんで溝が減って買い替える際に製品誤差がなく同じモデルを購入できるのもメリットになります。

画像: 50度から2度刻みで60度までラインナップされていて、56,58,60度は3種類のバウンス形状から選択できる

50度から2度刻みで60度までラインナップされていて、56,58,60度は3種類のバウンス形状から選択できる

コースで様々な状況から試打してみると、軟鉄鋳造の持つ打感のよさとスピン性能の高さは十分に感じられました。56度から3種類のバウンス形状が選べるので、SWに56度を使用するプレーヤーでも56・60度2本体制のプレーヤーにとってもプレースタイルや芝の種類、季節によって使い分けることができるのは大きなメリットになるでしょう。

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