猛暑の中、埼玉県川越市の霞ヶ関CCで行われている東京五輪ゴルフ競技。中には熱中症や脱水症状で倒れる者もおり、アメリカ代表のレクシー・トンプソンの帯同キャディは第一ラウンドの途中でダウン。ピンチヒッターを立ててのプレーとなった。

レクシーの代役はマスターズでデシャンボーのバッグを担いだテレビマン

大会初日の15番ホールでレクシーはキャディのジャック・ファルガムさんが足を止め「僕、もしかして顔面蒼白かな?」と尋ねられ驚いた。

「明らかにいつもと違うと感じました。すごく具合が悪そうだった」と異変を察知したレクシーはファルガムさんに「とにかく座って。少し休んで」と声を掛けた。しかし「彼は絶対に仕事を放棄したりしないんです。座ろうとしないから説得するのが大変でした」

画像: 東京オリンピック女子ゴルフ初日にレクシー・トンプソン(右)のキャディを務めたジャック・ファルガム(左)が、熱中症によりダウン。2日目には代役を立てる事態に(写真/Getty Images)

東京オリンピック女子ゴルフ初日にレクシー・トンプソン(右)のキャディを務めたジャック・ファルガム(左)が、熱中症によりダウン。2日目には代役を立てる事態に(写真/Getty Images)

程なくして救急隊員が駆けつけファルガムさんに水分補給や氷で冷やすなどの処置を施したが、残りホールはLPGAの関係者がバッグを担ぐことになった。その結果第1ラウンドは1オーバー72、36位タイと不本意な滑り出しとなってしまった。

「普段からヤーデージブックを持つことから距離の計測、クラブ選びまで彼に頼りきりだったから本当に不安で競技どころではなくなってしまった。彼が回復してくれることが何より大事」と泣き言を口にしたレクシー。

しかし彼女の願いは叶わず翌日もファルガムさんの回復は遅れ翌日も代役を頼むことに。そして選ばれたのがNBC放送の東京支局で働くドリュー・ヒンズリーさん。じつは彼、ブライソン・デシャンボーがアマチュアとしてマスターズに出場した16年、マッドサイエンティストのキャディを務めた人物。

キャディ経験のあるテレビマンのアシストを受けたレクシーだが、チームメイトで世界ランク1位のネリー・コルダが最終ホールバーディならゴルファーの夢『59』をマークするところ最後の最後にダブルボギーを叩き不満の残る62で後続に4打差をつける独走態勢に入ったのとは対照的に第2ラウンド終了時点で39位タイに低迷。リオに続く2度目のオリンピックでも優勝戦線に加わることはできていない。

それにしてもこの炎天下でゴルフをする選手たちの苦労は察するに余りある。「一年中暖かいフロリダ出身だけれど、これほどの暑さははじめて。風も吹かず本当に暑かった」とレクシー。

大会を管轄する国際ゴルフ連盟(IGF)が3日目以降スタート時間を繰り上げ午後の暑い時間帯にプレーが重ならないよう暑さ対策に乗り出したが、いつ誰が倒れてもおかしくない状況は続く。

会場が霞ヶ関CCに決まった時点ですでに酷暑を心配する声はあった。「日中は40度前後まで上がることがある。頭がクラクラして集中できなくなる。パットを打つときに汗がポタポタしたたり落ちる。この時期にオリンピックを開催すれば熱中症で倒れる人が出てもおかしくない」とコースのメンバーがオフレコで語ったこともある。

幸か不幸か無観客になったことで熱中症の危機に直面する人数は減ったが、ただでさえコロナが蔓延し医療機関が逼迫するなか敵はコロナだけでなく猛暑も! 暑さと戦う選手ならびに関係者を称えたい。

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