昨日の終盤はグリーンが乾いて色が変わっている個所が見られましたが散水したせいか今日は少しグリーンのスピードは落ち着いて見えました。約2週間グリーンの硬さ、スピードをキープするのは,
改良が進んでいるとはいえベント芝には厳しい暑さが続いています。その暑さ対策もありスタート時間が7時30分からアウト・インに分かれてのスタートに変更され、最終組も14時にはホールアウトできました。
2日目に圧巻の9アンダーでプレーしたネリー・コルダ(アメリカ)は、2打伸ばすにとどまりました。上位陣を見てもティーショットでフェアフェイをキープしなければピンに対してしっかり攻めていけないことは明らかです。3位タイで終えた稲見選手もティショットが非常に安定していて、フェアフェイからピンを狙うことでバーディチャンスを量産していましたね。
稲見選手は、前半3番で7メートルくらいからバーディを先行させると5、6番で連続バーディ、9番をボギーとし2アンダーで折り返します。10番のパー3でバウンスバックのバーディ、13番でバーディを奪いますが惜しくも入らないバーディパットが続きます。そして18番をグリーン奥に外すとアプローチはカップを1.5メートルオーバーし、これを決められずボギーでホールアウトします。5バーディ2ボギーの68でプレーしトータル10アンダー3位タイに順位を上げて終えました。
惜しいパットはいくつもありましたが、稲見選手らしい正確なショット、グリーンを外した際の絶妙なアプローチ、ラフに入れたら無理にグリーン狙はないなどの落ち着いたマネジメント……と持ち味を存分に発揮したのではないでしょうか。
「最後のボギーはもったいないなと。メダルはもちろん欲しいですけど、欲しいからこそ自分でプレッシャーをかけて追い込む必要はないかなと思っています」
大舞台でも動じることのない普段通りのプレーぶりがまた稲見選手らしいところでもあります。明日の最終日も気負わないプレーでスコアを伸ばす姿を見せてくれるでしょう。
一方のこれまで伸ばし切れなかった畑岡奈紗選手でしたが、3日目は気迫あふれるプレーが印象的でした。出だしをボギーでスタートするものの5、6番で連続バーディ。7番でボギーを挟んで8、9番でも連続バーディを奪い2打伸ばして折り返します。後半は13番と17番でバーディを奪い6、バーディ2ボギーの67でプレーしトータル8アンダーまでスコアを伸ばし、7位タイに順位を上げて3日目を終えました。終了後の会見では最低限順位を上げて終えることができたのはよかったと話し、スウィングについてはこう語っています。
「テークバックが長くなってオーバースウィングになってタイミングが合わないところがあったりとか、インパクト以降でクラブにうまく仕事させるというよりは自分の力で置きにいこうとかいうことがあったので、2日間あったのでそれを修正しながらという感じになりました」
2日目までで修正を終え、3日目は攻めに転じた、ということでしょう。ショットの調子は上向いていますが、まだまだ本調子ではないはずです。しかし、松山英樹選手がそうであったように、他のオリンピアンたちもそうであるように気迫で、気持ちでショットをピンそばに打ち、パットを決める姿が胸を打ちました。これまで自分の思うようなゴルフはできていないとも話しましたが上だけを見てやるしかないと決意を語りました。最終ラウンドも気持ちを前面に出した畑岡選手のプレーに期待します。
明日の天気は、スタート時間の6時30分前後から9時頃までは雨、その後は曇りの予報です。そうなるとグリーンは止まるようになりスコアを伸ばす展開が予想されます。
金メダル争いは15アンダーのネリー・コルダ(アメリカ)が最有力だとは思いますが、男子の試合を踏まえても8アンダーの畑岡奈紗選手までチャンスはあるのではないでしょうか。稲見選手はもちろん、同じく10アンダーのリディア・コ(ニュージーランド)やハナ・グリーン(オーストラリア)などメジャー優勝経験者からも目が離せないでしょう。とくに今季最終日に爆発的なスコア出しているリディア・コのプレーは見ものです。
銅メダル争いまでを考えると、現在10アンダーが3位タイグループなので5アンダー18位タイグループくらいまでは可能性がありそうです。まずは日本勢のメダル獲得を応援しつつ、世界最高峰のプレーヤーたちのプレーを、残り一日楽しみたいと思います。
撮影/服部謙二郎