稲見萌寧とは同門のライバル
高橋彩華選手は新潟県出身。ゴルフ界で黄金世代と呼ばれる1998年生まれの23歳です。東京オリンピックの女子ゴルフ競技で銀メダリストに輝いた稲見萌寧選手と同じ奥嶋誠昭コーチに師事し、稲見選手と同じ2018年にプロテストに合格しています。
稲見選手よりも1学年年上になりますが二人はとても仲が良く、お互いを良いライバルとして切磋琢磨する存在になっています。
高橋選手はドローヒッター、稲見選手はフェードヒッターとタイプの違う二人ですが共通しているのは高いパーオン率を誇るショットメーカーであるところです。今季のスタッツを見てみると、パーオン率が75.1%(1位)、飛距離が243.79ヤード(19位)、飛距離とフェアウェイキープ率の順位を合算したトータルドライビングでは6位とドライバーの正確性とパーオンさせるアイアンショットの正確性も持ち合わせていることがわかります。
体を回し続けてドローを打つ
そのドライバーショットを見てみましょう。
画像A左のアドレスを見るとドローヒッターではありますが、体が右に傾き過ぎていない自然体で立てています。クラブをインサイドに引き過ぎないテークバックから始動しトップの位置では肩の回転量に比べてクラブの位置がコンパクトにおさまっています(画像右)。
このトップからは、体の回転量と腕の運動量のバランスがよく、切り返しのズレが少ない使い方ができていることがわかります。下半身に注目すると左のひざがほとんど内側に入っていません。こうすることで背中側の大きな筋肉をしっかりと伸ばし、ダウンスウィングでそれが縮む際にパワーを出す準備を整えています。
画像B左を見ると、体幹で切り返すことで腰の角度と肩の角度に捻転差が生まれています。また、そのことによりクラブをインサイドから下ろすことができています。不動の左ひざが役割を果たし、下半身はしっかりと地面を踏みしめて左右にブレることがありません。
画像右のインパクトでは、体を止めて手の感覚でドローを打つのではなく、体を回転させ続けています。体が止まることがないので、引っかけるミスが出にくい使い方です。
画像Bと同じタイミングで後方から撮影された画像Cを見てみると、ダウンスウィング初期のクラブの角度が、すでにインパクトのシャフトの角度と揃っていることがわかります。曲がりが少なく効率のよいオンプレーンなスウィングです。
ショットが好調でパーオン率が高いのでアプローチ練習がおろそかになっていたらしく、アプローチに練習時間を割くようにしていると奥嶋コーチは話してくれました。やはりサンデーバックナインで最後に頼れるのはアプローチとパターです。
高橋選手は何度も優勝争いに絡みながら初優勝を手にしていませんが、勝利のドアをノックし続けることが大切ですし、初優勝を遂げれば堰を切ったように2勝目3勝目と続いて勝てるポテンシャルを秘めています。まずは今週どんなゴルフを見せてくれるのか、楽しみです。