オープンウィークでスウィングを見直した
2日目が中止、3日目も9ホールだけと27ホールの短縮競技となった「NEC軽井沢72トーナメント」。最終日も弱い雨が降り続くコンディションの中、決勝に残った71名が午前10時に10番ホールからスタートしていきました。
最終組の小祝さくら選手がスタートする頃にはスコアを伸ばす選手が多く、3打のリードを持ってはいましたが予断は許されない状況でした。
3月の「Tポイント×ENEOS」以来優勝から遠ざかっていた小祝選手でしたが、先週のオープンウィークに地元の北海道に帰り、良かったころの動画や優勝したときの録画を見てショットの修正に取り組んだことが功を奏し、雨の初日を6連続バーディを含め8バーディノーボギーの完璧なプレーで終えていました。
パターも小祝選手に合わせて作られた北海道の地クラブを投入し次々にバーディパットを決め、ショット、パットとも不安要素のないラウンドで、2021年序盤のつねに優勝争いに絡んでいたころの勢いを取り戻したようなプレーぶりでした。
最終日の9ホールは、ティショットがラフに入ることが多かったのですが、好調なアイアンショットでしっかりとグリーンをとらえ2バーディノーボギーのプレーで追い上げる後続を突き放しました。
とくに連続バーディを奪った13番、14番のプレーは素晴らしかった。13番パー5のラフからの3打目をピンそばに寄せたショット、続く14番の2打目と完璧なショットについては終了後の会見で「思い通りのショットが打てた」と本人も語っていましたし、見ていても不安要素をなくしたことで自信を取り戻したんだな、と感じられました。ラフからは「上からカット目に打つ練習をしている」と語っており、新たな技術の習得も進んでいるようです。
賞金女王を目指す上でもうひとつ大きな決断をしたようです。シーズン終盤に向けて、10月の「スタンレーレディス」を休場する予定だというのです。一試合休むなんて普通でしょと思うかもしれませんが、小祝選手は2年以上続けて試合に出続けている選手。休むのは小さくない決断だったと思います。
試合の中で調整することも大切ですが、試合が続くと改善しようとしても元に戻ってしまうこともあるのがゴルフの難しいところ。逆に、休むことで調子を取り戻すこともある。そのことを今回のオープンウィークが教えてくれたのかもしれませんし、113試合続く連続出場を止めてでも賞金女王を獲るんだという強い意志を垣間見ました。
賞金女王を目指す上で今大会の優勝はシーズン後半に向けて大きなきっかけになることでしょう。賞金女王レースは小祝選手が約1億5970万円でトップ。2位には約1億4736万円で東京オリンピックの銀メダリスト・稲見萌寧選手がつけ、3位には調子を上げてきたプラチナ世代、古江彩佳選手が約1億3338万円で追走します。黄金世代の小祝選手、そのひとつ下の稲見選手、さらにひとつ下の古江選手と、3つの世代の選手たちが賞金女王を争うという構図です。
まだまだレースの行方はわかりませんが、その主役のひとりである小祝選手のプレーに引き続き注目していきたいと思います。