2021年は5試合すべてでトップ10入り
大岩龍一選手を実際に見たのは大槻智春選手とのプレーオフを制した2020年の千葉オープンでした。プレーオフでは高い弾道で豪快に飛ばすドライバーを武器にキレのあるアイアンショットでピンを攻め、ショートゲームも上手く同じ用具契約を結ぶ先輩プロを押しのけて優勝を手にしました。
21年の開幕戦の「東建ホームメイトカップ」で4位タイに入ると、「プレーヤーズ選手権byサトウ食品」7位タイ、「ミズノオープン」3位タイ、「日本ゴルフツアー選手権」3位タイ、「ダンロップスリクソン福島オープン」4位タイと破竹の勢いで躍進しています。その原動力をスタッツから見てみると、平均ストローク2位、平均パット2位、パーキープ率6位、パーオン率4位、バーディ率1位、飛距離11位、FWキープ率20位と軒並み高いスタッツを示し、選手の総合力の指標であるメルセデス・ベンツ トータルポイントランキングでは堂々のトップ。総合力の高いプレーヤーであることを表しています。
スウィングを見ると、特徴的なのはコンパクトなトップ。そこから、フォローの大きなスウィングで平均295.85ヤード飛ばしてきます。細かく見ていきましょう。
まず画像Aの左では両わきの締まったアドレスが印象的です。手元を左太ももの内側に置き、クラブと左腕が一直線になるように構えると、両わきを締めたまま体の動きと同調させ、コンパクトなトップをつくります(画像A右)。トップで腕が上に上がる動きを極力排除したバックスウィングです。
画像Bでは地面に圧力を加えながら少し沈み込み、切り返していきます。手元と体の距離を保ちながら体幹を使って切り返しているので、シャフトにしっかりと負荷がかかり、シャフトの“しなり”が見て取れます(画像B左)。
インパクト前には左足を伸ばす動きを入れ、地面からの反力を回転力に変換しボールにしっかりとエネルギーを与えています(画像B右)。このとき、帽子の位置はダウンスウィングと変わっておらず、前傾角度もしっかりとキープできています。
腕が両わきから離れないスウィングは再現性が高く、ショットの安定感につながります。しかし腕の振りが使えない分飛距離を得る上では不利。その点、大岩選手の場合、体の中心の力を使うことで回転スピードを上げ、クラブを速く振ることができています。これはフィジカルの部分も大きく関わってきますから、しっかりとトレーニングを積み重ねていることで飛距離と方向性を手にできているのでしょう。
コンパクトでややフラットなトップから大きなフォローに向かって振り抜くので、浅い入射角でスピン量は多くならずに高い弾道で攻めるプレースタイルが持ち味です。「セガサミー」が開催されるザ・ノースGCはフラットで飛距離によって狙う地点が変わる戦略性の高いコースですが飛距離のある大岩選手との相性はよさそうです。
6試合連続のトップ10フィニッシュを、いや、初優勝を狙ってプレーする姿を期待します。