グリーン上だけでなく、フェアウェイの傾斜にまで注意する必要がある
会場となるカーヌスティGLはスコットランドにあるリンクスコース。1999年に首位で最終ホールを迎えたジャン・バンデベルデがまさかのトリプルボギーを叩き、プレーオフで負けた「カーヌスティの悲劇」の舞台になったことで有名だ。
日本からは、畑岡奈紗、笹生優花、渋野日向子、原英莉花、古江彩佳、青木瀬令奈、梶谷翼(アマチュア)の7名が出場。青木のキャディを務める大西翔太コーチが現地からリンクスコースならではの練習ラウンドの様子を教えてくれた。
「昨日(火曜日)の午前中は風がなくてコースがやさしく感じていたのですが、午後から風が吹いたらコースは一変しました」
やはり風が吹くと海沿いでほぼフラットなリンクスコースならではの難しさが顔を出してくるという。また、フェアウェイが硬くランが出るためフェアウェイやグリーン周りにあるポットバンカーにも要注意だと大西。
「とくにアゴの高いポットバンカーに入ると1ペナルティを払うことと同じになりますね。ただフェアウェイは広くラフもそこまで深くないので大きく曲げない限りグリーンに向かって打って行けそうです」
正確なショットが持ち味の青木だが、風対策とランの出るコンディションを見越してボールを右に置き低い弾道のショットを練習していると大西。
もうひとつ、リンクスで求められるのは転がしのアプローチだ。
「手前からは転がして乗せられるホールが多いのですが、細長いグリーンが多くグリーンのはしは低いほうに流れていくように作られています。そこからの寄せは転がしがメインになるので、パターや7番アイアンの転がしを練習しています」
グリーンのスピードは速くないとのことだが、その理由が面白い。強い風が吹くとボールが動いてしまうので速くできないというのだ。
そして、リンクスで選手を悩ませるのが細かい傾斜だ。フェアウェイも、グリーン上も、細かいアンジュレーションも多く、距離感が大事になる。
「フェアウェイの傾斜がポットバンカーに向かっていたり、グリーン周りの傾斜も強い。すべての傾斜を把握するのは困難ですが、風が吹いたときに思わぬ傾斜に持っていかれてしまったときの対処が重要になるので、フェアウェイにポットバンカーのあるホールとグリーン上、グリーン周りはとくに入念にチェックしています。ということは全部注意しないとならないですね(笑)」
昨日は渋野日向子と「エビアン選手権」を制したミンジ―・リーと練習ラウンドをともにし、今日はレクシ―・トンプソンと同組で練習ラウンドをした青木・大西コンビ。世界のトッププレーヤーたちのプレーを目の前にして学ぶことが多いと話す。
「ミンジ―はキャリーで攻め、レクシーは風を考慮して刻みと攻めのメリハリをはっきりと分けていました。レクシーはライン出しするように低いボールを打ったり、豪快なドライバーを打ったりしながら繊細なアプローチとパターでハーフを3アンダーでプレーしていました」
メジャー初出場の青木・大西コンビだが、「とにかく楽しい」とメジャーの雰囲気を楽しんでいるようだ。ただもちろん「いい経験に終わらせず爪あとを残して帰りたい」と初日に向け気合十分。
飛距離の出ない青木瀬令奈が全英女子のリンクスコースでどんなプレーを見せてくれるのか、注目してみよう。
写真提供/大西翔太