7名が全英女子へ
米ツアー4勝を誇る畑岡奈紗。全米女子オープンを制し、フィリピン代表としてオリンピックにも出場した笹生優花。言わずと知れた2019年の全英女子オープン女王の渋野日向子。今年海外メジャー「エビアン選手権」で4位と上位フィニッシュした古江彩佳。今年米女子ツアーの予選会参加を表明している原英莉花。今年「宮里藍サントリーレディス」で優勝し、キャリアハイレベルの成績を残している青木瀬令奈。そしてオーガスタナショナル女子アマを制した梶谷翼……。
国内で賞金女王を争う小祝さくらとオリンピック銀メダリストの稲見萌寧こそ参戦しないものの、実力者がズラリと参戦する今年の全英女子。プロゴルファー・中村修は、トップ選手が揃った顔ぶれに、「時代の変化を感じる」という。
「一時期、全英女子オープンは国内で出場権を得ても、日程などの理由から辞退する選手が多くいました。そんな中、コロナ禍で隔離期間もあるなかでトップ選手たちが海外メジャーに挑むのは、それだけ海外に出ていこうという意識の変化があると思います。もちろん、そこには2019年の渋野日向子選手の全英制覇が大きく影響しているのではないでしょうか」(中村、以下同)
2019年に渋野が全英女子を制し、2021年にはアマチュアの梶谷翼がオーガスタ女子アマを制し、全米女子オープンでは笹生優花が畑岡奈紗とのプレーオフの末優勝。東京オリンピックでは稲見萌寧が銀メダリストの栄冠を手にした。女子選手の世界の舞台での活躍はめざましいものがある。
その背景には、ナショナルチームで学生時代から海外経験を積んでいること、同年代の選手が海外で結果を残していること、国内ツアーの競争激化による選手個々のレベルアップ、最新理論や技術を学ぶコーチたちのスキルアップなど様々な要因がある。ひとついえるのは、結果、選手たちの意識に変化が起きていることだろう。
「たとえば、海外メジャー出場2戦目にしてエビアンで大活躍した古江彩佳選手は、もともとナショナルチームで豊富な海外経験を持っています。それは畑岡選手もそうですし、笹生選手もそうです。そして、黄金世代(98年度生まれ)からプラチナ世代(00年度生まれ)前後の選手たちは、彼女たちが身近にいることにより、『自分でも通用するはず』と思うことができるのではないでしょうか」
日本勢がメジャーに勝つ。ほんの数年前までどこか実態のない夢のような言葉が、渋野の全英制覇を受け、現実に達成可能な具体的目標となった。そのことがもたらした影響は、やはり計り知れない。
では、カーヌスティを舞台に開催される今年の全英女子で7名の中からあえて注目選手を選ぶならば、誰になるのだろうか。
「前週、スコティッシュ女子オープンを戦い15位でフィニッシュしている笹生優花選手は優勝候補の一人ではないでしょうか。今年全英オープンを勝ったコリン・モリカワも、前の週にスコッティシュオープンを戦い、全英制覇につなげています。全英用に2番アイアンも投入したと聞きますし、楽しみです。そして畑岡奈紗選手。東京オリンピックでは9位タイと決して満足のいく順位ではなかったはずですが、本調子ではない中でも耐えて順位を上げる底力を見せてくれましたし、やってくれると思います。そしてやはり渋野日向子選手。昨年は予選落ちを喫して悔しい思いをしましたが、新しいスウィングで臨む今年はどんな結果になるのか、注目しています」
昨年は上田桃子が最終日にスコアを伸ばすナイスプレーで単独6位に食い込んだ全英女子。今年は誰が世界を驚かせくれるだろうか。開幕は日本時間で今日木曜日、19日の午後だ。