「AIG女子オープン」(全英女子オープン)の最終日、首位タイで出たスウェーデンのアンナ・ノルドクビストがスコアを3つ伸ばし12アンダーでメジャー3勝目を飾った。難コースで戦った日本勢のプレーをプロゴルファー・中村修がレポート。

東京オリンピックのゴルフ競技に続いて世界最高峰のプレーに触れる機会になりました。会場となったのは「世界でもっとも難しいコースの一つ」とゲーリー・プレーヤーに言わしめたカーヌスティGLですが、風の吹かない穏やかな天候で大きくその牙をむくことなく終えました。しかし、硬くてうねりのあるフェアフェイ、ポットバンカー、深いラフ、そして15番ホールからの上がり4ホールはすべての選手を苦しめました。

最終日最終組でスタートし優勝したノルドクビストは欧州、米ツアーで活躍する182センチの大型プレーヤーですが、米女子ツアーのスタッツでは飛距離は252ヤード(105位)と決して飛距離の出るプレースタイルではありません。同組のN・K・マドセンと最終ホールまで同スコアで並びもつれましたが最後まで崩れない安定したプレーで09年のLPGA選手権、17年のエビアン選手権に続くメジャー3勝目を挙げ渋野日向子選手以来続いていた優勝者が初優勝となる流れに終止符を打ちました。

ティショットを刻むホールも多かったセッティングの妙もあり、ショット力、ショートゲーム、メンタル、マネジメントの総合力が問われる展開で1打差の2位に3名が並ぶ混戦となりました。

上位で終えたどのプレーヤーもバンカーに入れないロングゲームの正確性、ラフからのショット、グリーン周りのアプローチ、入れておくべきパットなどコースから要求される技術を高いレベルで見せてくれていました。ノルドクビストはそのうちのどれかが他者よりも少しだけ上回り1打差での優勝につながったのではないでしょうか。開催コースにもよりますが、世界のトップレベルの実力は拮抗していると感じました。

そんな中最終日を迎えた日本勢の最上位で終えた古江彩佳選手は、1イーグル2バーディ4ボギーのパープレーとしトータル5アンダーの20位タイでした。初日の2オーバーから巻き返し、終始落ち着いたプレーでメジャーでも持てる力を発揮したように見えました。ラウンド後の会見では「グリーンを外したときの技術がまだまだないんだなと感じた」と話し自分の伸び代を見出し来年のメジャーでの活躍を期待させてくれました。

画像: 海外メジャー「AIG女子オープン」で日本勢最上位となるトータル5アンダー20位タイでフィニッシュした古江彩佳(写真/Getty Imges)

海外メジャー「AIG女子オープン」で日本勢最上位となるトータル5アンダー20位タイでフィニッシュした古江彩佳(写真/Getty Imges)

1イーグル3バーディ3ボギー1ダブルボギーの出入りの激しいゴルフでパープレーで回りトータル3アンダー26位タイで終えた畑岡奈紗選手は会見で、プロ入りして5年以内にメジャー優勝という目標を達成できなかったものの、LPGA選手権の予選落ちと全米女子オープンの2位を引き合いに出し「悔しい気持ちとよくやった気持ちの両方がある」と語りました。ウェッジのバウンスを思い切って削ったものを投入し硬いフェアフェイからのアプローチに手ごたえをつかんだとも話し来年以降のリンクスでの戦いに期待を残しました。

渋野日向子選手は、5バーディ4ボギー2ダブルボギーの3オーバーとしトータル1アンダー34位タイで終えました。1番2番と連続バーディで幸先よくスタートしますが3番でクリークにつかまりダブルボギーと流れを手放します。中盤スコアを崩し流れを取り戻せませんでしたが12番のパー5のバーディから息を吹き返し14、16番とバーディを奪い笑顔で最終ホールをパーで終えました。

「昨年に比べたら少しは成長している部分もありますが、まだまだなところも。来年もっと強くなってもっといい位置で戦いたい」と話し、連続してスコアを崩さないゴルフができるように誓いました。スウィング改造に取り組み8か月余り経過しましたが、これまでのゴルフよりも着実に成果が出てきているように感じます。この先どこまで伸ばせるのかスウィング改造の成果を見守りたいと思います。

笹生優花選手は前日に痛めた肩の状態も悪かったせいか、5バーディ3ボギー2ダブルボギーの3オーバーとスコアを崩し、トータルイーブンパー39位タイで終えました。「難しいコースで学ぶことがたくさんあった」とスポンジのように吸収する20歳はこれからどんなプレーを見せてくれるのか楽しみです。

予選通過がならなかった原英莉花選手、青木瀬令奈選手、梶谷翼選手も含めてそれぞれ、足りない点や課題を持ち帰ってくると思いますが、メジャーの舞台でできたことも多くあったはずです。「できなかったこと」ばかりでなく「できたこと」も積み重ね自信につなげて欲しいをと願います。タフなコースで世界最高峰の選手と戦ってきた日本勢はこの先確実に成長した姿を見せてくれることでしょう。隔離期間を経て復帰する際には再度注目したいと思います。

画像: 【検証】トップドラコン選手は44.5インチの一般的なドライバーでどれくらい飛ばせるのか?驚きの結果が⁉ youtu.be

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