34歳のベテラン、アンナ・ノルドクビストがメジャー3勝目を飾った裏で国内ツアーでは小祝がCAT Ladiesを逆転で制しNEC軽井沢72に続く2週連続、今季5勝目を達成した。
強風が吹いた最終日トップから出た稲見萌寧ら上位選手が軒並み崩れるなか「強風になればチャンスはある」と自らを鼓舞し我慢のゴルフを貫いた小祝が4打差を逆転。難コンディションにめげずアンダーパーをマークし痛快な逆転劇を演じきった。
小祝にも全英女子オープンの出場権はあった。CATの優勝賞金は1080万円。勝てば9000万円のメジャーは魅力だし、もしそこで2年前渋野が実現したようなシンデレラストーリーの主人公になれば海外進出の道が開ける。しかし小祝は国内ツアーに止まる決断をした。そして2週連続優勝という期待以上の成績を挙げ念願の賞金女王のタイトルに一歩前進した。
結果論ではあるがメジャー挑戦を決め予選落ちに終わった同世代の原英莉花とは対照的。どちらの決断が正しいとか正しくないという問題ではないが、海外に挑戦するのと同じようにチャンスがありながら日本にとどまるのも勇気ある決断に違いない。
もしCATで稲見が優勝していれば賞金女王争いでトップを走ってきた小祝が逆転を許す可能性もあった。しかし勝ったことで稲見におよそ2000万円差をつけ1位の座を堅守した。
賞金女王のタイトルは獲りたくて獲れるような生易しいものではない。群雄割拠のツアーにあって一生に一度クラスの貴重な栄冠。海外で経験を積むことが将来に繋がるという考え方もあるだろう。しかしタイトルを獲るという目標に向けひたむきに走る経験が選手を大きくすることもある。
海外メジャーの洗礼を受けた原がその経験をバネに飛躍する可能性も十分ある。だが少なくとも現時点では小祝の決断が間違っていなかったと言えそうだ。
次週自らがホストを務めるニトリレディスで3週連続優勝を目指す小祝。昨年2位に終わった大会でリベンジを果たせば賞金女王へさらに前進する。
「今年こそと思って取り組んできたショットがすごく良くなっています。自信を持ってプレーできているのが大きい」という彼女は、東京五輪銀メダリストの稲見とともに間違いなく21年シーズンの主役である。