シャフトを短くする目的をハッキリさせよう!
筆者が過去に40インチのドライバーを使っていたこともあり、クラブの“短尺化”について質問されることがしばしばある。質問・疑問の筆頭は「短くした後、バランス(スウィングウェート)はどうしているのか?」というものである。例えば、元々バランスがD1だったから、短くしたらソールに鉛を貼らないとバランスが軽くなってしまいますよね? ということである。
シャフトを切ったままでは、バランスが軽くなってしまう。それはその通りだ。自分の40インチドライバーもバランス計に乗せたらBバランスだろう。それをDに戻すとなると、いったい何グラムヘッドに鉛を貼らないといけないのだろうか(汗)。
でも、実際はそんなことは「していない」のである。なぜなら、シャフトを切る目的が“バランスダウンして振りやすく”することにあるからだ。ヘッド側を持ち、グリップを下にして振るとどんなクラブでもビュンビュン振れると思うが、イメージとしてはこれと同じ。シャフトを切ることでもヘッドが軽く感じられるようになり、軽快に振れるようになる。長いままではヘッドが重たくて振り遅れていたから、少しずつシャフト切って“振りやすく”していったのだ。
これは持論だが、シャフトを短く切って、そのぶんヘッドに加重して元のバランスにしてしまったら、単に振りにくくて、短いクラブになるだけだと思うのである。これでは飛ばせる気はしないだろう。
3Wはシャフトが短いが、ヘッド重でかなり振りにくい
シャフトが短ければ正確にミートできるようになるのだとしたら、ドライバーよりもかなり短い3Wなどは誰もが簡単に打ちこなせるはずである。しかし、実際は3Wほどアマチュアのゴルフで登場回数が少ないクラブもない。3Wで打つくらいならドライバーのほうがヘッドが大きいぶんまだ安心だと思う人も多いだろう。
これも持論だが、3Wはシャフトこそ短いが、そのぶんヘッドが重たくなっている。短くてヘッドスピードが上がりにくく、ヘッドが重たくて振り遅れがちなクラブが、アマチュアにとっての3Wなのではないだろうか。
クラブが短ければミート率が上がる、というのはイメージとしてはわかるが、実際はパターでもウェッジでも大きく振れば力量なりに打点はバラつくものである。
試しに、もう使っていない3Wや5W(おすすめは5W)のシャフトを1インチ(2.5センチ)程度カットし、とりあえずヘッドに鉛などを貼らずに打ってみていただきたい。感覚的にはユーティリティクラブよりも軽快に振ることができるはずである。なぜならUTも長さに合わせバランスが出るようにヘッド重になっているからだ。
シャフトを切って、バランスが軽くなってしまうと、なんとなく“バランスが崩れてしまった”感覚になってしまうが、元々振りにくかったクラブのバランスに、なぜ戻す必要があるのだろうか。
シャフトを短く握れば、なんとなくビュンビュン振れるようになるように、シャフトを短く切るのも振りやすさを向上させるためだ。長いクラブを軽量化してもヘッドが重たければ振りにくいし、逆に重たいシャフトでも短かったり、ヘッドが軽ければ振りやすく感じるものである。クラブを短く切ったら、とりあえずそのままで使ってみる。その後、ヘッドを重くしていくにしても5グラム程度ずつ徐々に鉛を貼っていき、振り心地と弾道結果でよい塩梅を判断するようにしたいものである。
撮影/高梨祥明