スコアを伸ばさないと勝てない展開のなか、攻めて勝利を手にした
フェアフェイが広く、雨の影響もありグリーンも止まるコンディションの中、守っていては上位に上がれない、攻め続けるプレーを強いられた試合でした。前日がサスペンデッドになった影響で、3日目の残りホールを消化してからのスタートになった首位の大里桃子選手などは集中力を保つのが難しいコンディションだったと思います。最終組がスコアを伸ばせない中、早いスタートの選手が続々とバーディ合戦を繰り広げる展開となりました。
優勝した吉田優利選手は、9バーディ2ボギーの素晴らしいゴルフ。18番をボギーとして憧れの選手だという岡山絵里選手に並ばれて突入したプレーオフの2ホール目で岡山選手を破り、4週前の「楽天スーパーレディース」の初優勝に続きツアー2勝目を挙げました。
「憧れのスウィングをしている絵里さんを私だけが見られる状態で一緒にプレーできた。私にとっては勝っても負けても勉強になるプレーオフだと思いましたし、結果として勝てたということは、アスリートは結果でしか恩返しができないので自分としてはよく頑張ったなと思います」(吉田)
岡山選手本人に伝えたことはないと言いますが、岡山選手の「ゆるみのないショットメーカーのスウィング」をプロ入り前から参考にして練習していたそうです。吉田選手のスウィングも下半身のリードでインパクトゾーンを一気に振り抜く小気味良いスウィングですが、岡山選手のスウィングを参考にしていたことに納得します。
初優勝から早々に難しいといわれる2勝目を挙げられた要因を考えると、吉田選手の先を見据えた取り組み方が浮かびます。そのひとつは食事を含めたトレーニングで、プロテスト前からトレーナーをつけ取り組んでいたことです。
「プロテストの前からずっとお願いしていて、みるみる自分の体が変わっていく、良くなっていくというのを実感していますし、それが出来ることによって、スイングの修正が出来たり、いいこ
とばかりなので、トレーニングはきついですけど、私にとっては不可欠だと思っています」
春先から夏場を乗り切るためにトレーニング内容を濃いものにしたともいいます。数か月先、数年先と先を見据えての取り組みは、トレーニングだけでなく練習にも生きています。今大会はパットでスコアを作ることができたと話していましたが、足の裏の感覚で傾斜を感じる練習と、目視だけでラインを読む練習を怠らないことで、ラインを読む力がついたことがパーオン時平均パット2位のスタッツを支えているようです。
まや、今大会でキャディを務めた先崎洋之プロキャディに話を聞くと「攻められること」が強さの背景にあると教えてくれました。
「守りが上手いプレーヤーもいますが、吉田プロは攻める気持ちを絶対になくさないんです。スコアを伸ばさないと勝てない最終日にしっかりと攻めてスコアを伸ばせるのでこれから先すごい選手になっていくと思います」(先崎プロキャディ)
敗れた岡山選手も、最終日にスコアを伸ばしたホステスプロの穴井詩選手、そして鶴岡果恋選手、植竹希望選手らもやり切ったすがすがしい顔をしていたことが印象的でした。次戦はメジャー「日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯」です。全英女子オープン組も合流してきますのでどんな戦いになるか非常に楽しみです。