「フジサンケイクラシック」の最終日、7566ヤードパー71のモンスターコースを7バーディノーボギーでプレーし、逆転で優勝を飾った今平周吾。プロゴルファー・中村修がそのスウィングを解説。

パーオン率は72.22%。飛距離と精度を両立した

例年選手を苦しめる距離のある富士桜CCですが、雨天の影響もありさらに距離の長さを感じるセッティングとなりましたが、ティショットの飛距離、ラフからでも球を上げて止められるパワー、雨でも速さを持ち合わせたグリーン上での精度と、今平選手のプレーは富士桜で優勝するために必要なすべての要素を持ち合わせていました。

グリーン奥からチップインバーディを奪ったりロングパットが決まったりとゲームの流れを引き寄せるラッキーもあったとは思いますが、パーオン率72.22%で3位タイ、ドライビングディスタンス309.63ヤードで6位タイという大会期間中のスタッツを見ても、勝者にふさわしいプレーだったのは明らかです。

画像: 20-21シーズン初優勝(通算5勝目)を挙げた今平周吾(写真は2021年のフジサンケイクラシック 写真/岡沢裕行)

20-21シーズン初優勝(通算5勝目)を挙げた今平周吾(写真は2021年のフジサンケイクラシック 写真/岡沢裕行)

1年前のこの大会から始まった男子ツアーの2020-21シーズンの初優勝を挙げた要因を「元に戻した」ことと会見で話しました。なんでも、オフの間に厳しいトレーニングを積んだことで飛距離は伸びたもののアイアンの距離感やアプローチの感覚にズレが生じたんだそう。5月頃からトレーニングを見直し、調子が上がってきていたといいます。

画像: ショット、パットともに冴え最終日には7バーディノーボギーの64でプレーした(写真は2021年のフジサンケイクラシック 写真/岡沢裕行)

ショット、パットともに冴え最終日には7バーディノーボギーの64でプレーした(写真は2021年のフジサンケイクラシック 写真/岡沢裕行)

本人の言葉通りにドライバーの飛距離は出ていましたし、アイアンの精度も高く調子の良さが見て取れました。そのスウィングをじっくり見てみましょう。

今平選手はクラブを短く握るのも特徴の一つです。アイアンのアドレスではダウンブローに入るようにボールをスタンスの中央付近に置き、左腕とクラブが一直線になるように構えています(画像A左)。

そして、アドレスで作った手元と胸の距離を保ったままテークバック。軸をセンターに取り、大きな体重移動はしていませんが、重心はしっかりと移動させて力強いトップを取っています(画像A右)。

画像: 画像A クラブを短く握りボールはスタンスの中央付近、左腕とクラブが一直線になるように構える(左)、手元と体の距離を保ったままテークバックする(右)(2021年の関西オープン 写真/岡沢裕行)

画像A クラブを短く握りボールはスタンスの中央付近、左腕とクラブが一直線になるように構える(左)、手元と体の距離を保ったままテークバックする(右)(2021年の関西オープン 写真/岡沢裕行)

切り返し以降(画像B)の動きを見ると、左右の体重移動を使って左の壁にぶつけて腕を振るのではなく左ひざや左サイドがスッと動き出していて、回転をブロックするような動きは見られません(画像B左)。

そして下半身や体幹で作った回転を上半身、クラブへと伝えていき、左右の手の向きがアドレスの再現ともいえるようなインパクトへとつながります(画像B右)。手元と体の距離をキープして、大胸筋など上半身の筋力もしっかりと使い腕を振らずに体幹の回転力を使って打つことで正確で再現性の高いインパクトを実現しています。

画像: 画像B 左ひざ、左サイドから切り返し(左)、体幹を使って回転力をクラブに伝えることで正確で再現性の高いインパクトを実現する(右)(2021年の関西オープン 写真/岡沢裕行)

画像B 左ひざ、左サイドから切り返し(左)、体幹を使って回転力をクラブに伝えることで正確で再現性の高いインパクトを実現する(右)(2021年の関西オープン 写真/岡沢裕行)

これまで2年連続で賞金王に輝いていますが、「シーズン3勝とあとは 3年連続の賞金王を目指して頑張ります」と会見で力強く語りました。元に戻すといっても、トレーニングの積み重ねによりそのスウィングは進化しています。安定感抜群のスウィングで残りシーズンどこまで成績を上げていくか、楽しみです。

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