とくに120切りといった明確な目標のあるゴルファーは、自身の上達のために足しげく打ちっ放しなどで練習をしていることだろう。
ショット練習のために足を運んでいる以上、練習場に到着したらグローブを着けてクラブを握り即スウィング練習……と行きたいところだが、忘れてはいけないのが準備運動。「ケガ防止のためにもストレッチは欠かさず行ってほしいです」と兼濱は言う。
「まずゴルフはスポーツ、運動なので、たとえばラジオ体操といった簡単なストレッチを一通り行って体をほぐして体温を上げ、そのうえで素振りを行ってから、実際にボールを打ってほしいですね。不意のケガを防ぐためでもあり、体をほぐすことでゴルフスウィングにも良い効果があります。逆に、準備運動せずにいきなり打ち始めるメリットはほぼないと言って良いです」(兼濱、以下同)
とくに兼濱が「ゴルフっぽい動きが入った動的な運動」として欠かさずやるストレッチのひとつが、ラジオ体操にも取り入れられている体を前後に曲げる運動だ。
「スタンス幅を大きく開いて、地面に手を付けるイメージで上半身を曲げていきます。体の正面側、右足側、左足側と手元の方向を3パターンそれぞれ伸ばして、最後に上半身を背中側に反らしましょう」
これだけでも「太ももの裏側など体の大きな筋肉が動かせます」と兼濱。さらにもう1つ、よりゴルフスウィングに近いストレッチも行っているという。
「テニスプレーヤーの構えのように、両ひざを曲げて深めに前傾し、両腕をダランとさせた状態を作ります。そのまま【1】頭の位置をなるべく動かさない、【2】前傾角を維持する、この2つを意識しながらダランとさせた腕を振り回すイメージで両肩を回していきましょう。肩回りをほぐすと同時に、ゴルフスウィングで重要になってくる体の軸をキープする感覚も養えます」
2つのストレッチとも「1セット30秒など、ご自身で目安を作って実践していただきたいです」と兼濱。
そのうえで、練習の際に1番始めに打っておきたい番手についてもアドバイス。「基本的にどの番手から始めても良いですが、とくにドライバーなどティショットで使用する番手が苦手だと感じているなら、その番手をまず最初に練習するのが良いですよ」という。
「みなさんも野球のバットなど重いモノをスウィングしてからゴルフクラブを振ることでヘッドスピードが上がる、といったレッスンやその効果に特化した練習器具に見覚えがあるかと思います。これは筋運動感覚残効という現象で、要約すると人間は重たいモノを振ったあとに軽いモノを振ると、より軽く感じてしまうんです。ドライバーは一番軽くて一番長く重量を感じづらいクラブなので、アイアンやウェッジなどの重たいクラブから打ってその感覚が残ったまま練習すると、たくさん打っても『なんか良くなかったな』と感じてしまいやすいんです」
兼濱曰く「パットができなければ試合には勝てないけど、ドライバーが打てないと試合にもならない」。ドライバーに限らず、主にティショットで使うクラブに苦手意識があるなら「まずはその番手で良いショットが打てるような感覚になるまで打って、達成できたら今日はその番手の練習は終了。あとは細かいところでスコアにつながる番手の練習をするのがオススメです」という。
ともあれまず大切なのはストレッチ。今までサボリがちだったゴルファーは、ケガ防止の意味でも必ず体をほぐしてから練習に挑もう。