9月9日から4日間予定で開催される国内女子メジャー「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」。プロゴルファー・中村修が今週注目したのは、先週の「ゴルフ5レディス」で3位タイフィニッシュした鶴岡果恋。そのスウィングを解説。

今週開催の国内女子メジャー「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」で私が注目するのは、先週開催の「ゴルフ5レディス」を3位タイでフィニッシュした鶴岡果恋選手です。

画像: 先週開催の国内女子ツアー「ゴルフ5レディス」で3位タイフィニッシュした鶴岡果恋(写真は2021年のヤマハレディースオープン葛城 撮影/姉崎正)

先週開催の国内女子ツアー「ゴルフ5レディス」で3位タイフィニッシュした鶴岡果恋(写真は2021年のヤマハレディースオープン葛城 撮影/姉崎正)

稲見萌寧選手と同じ1999年度生まれで、本格的なツアー参戦は今シーズンからですが、4月の「ヤマハレディースオープン葛城」で4位タイ、7月の「資生堂 レディスオープン」では6位タイ、そして先週開は3位タイフィニッシュと、優勝争いにも絡んでいます。

とくに先週のゴルフ5レディスはスコアを伸ばし合う展開で、攻めないと勝てない試合でしたが、鶴岡選手はプレッシャーがかかる最終日も飛距離と方向性を兼ね備えたドライバーショットを打ち、そしてグリーン上でもしっかりパットを決めて1イーグル6バーディでフィニッシュ。

先週は天候に恵まれないなか、3日間の平均飛距離は235.167ヤード。パフォーマンスの良さは、3日間の平均パーオン率8位タイ、パット数10位タイというスタッツにも表れています。

ではそのスウィングを見てみましょう。まずアドレス(写真A左)は非常にバランスが良く、オーソドックスな形。アドレスの段階で頭の位置がボールよりも右側にあり、インパクト時にアッパー軌道でボールをとらえる準備ができています。165センチの長身を活かして少し高めに構えていますね。

画像: 写真A:オーソドックスなアドレスからアップライトにクラブを上げていき、トップでは手元が頭よりも高い位置にある(写真は2021年のニチレイレディス 撮影/大澤進二)

写真A:オーソドックスなアドレスからアップライトにクラブを上げていき、トップでは手元が頭よりも高い位置にある(写真は2021年のニチレイレディス 撮影/大澤進二)

そこからややアップライトにテークバックしていき、トップ位置(写真A右)では手元が頭より高い位置まで上げられています。また、両肩が90度以上ねん転され、ターゲット方向に背中がしっかり向いているのも良い点です。

切り返し(写真B左)で左足を踏み込んでから腰をターンさせ、下半身→体幹→上半身→クラブの順に、下半身主導でエネルギーを伝えていきます。ダウンスウィングの早い段階でおへそがターゲット方向を向くくらい腰をターンさせつつ、手元はついていかずにしっかり耐えていることで、スウィングアークが大きくなり、入射角は浅く、スピン量も安定させることができています。

画像: 写真B:切り返しで左足を踏み込みながら腰をターン。ダウンスウィングの早い段階で腰は回し切り、手元は体の回転についていかずしっかり耐えていることが、浅い入射角とスピン量の安定につながっている(写真は2021年のニチレイレディス 撮影/大澤進二)

写真B:切り返しで左足を踏み込みながら腰をターン。ダウンスウィングの早い段階で腰は回し切り、手元は体の回転についていかずしっかり耐えていることが、浅い入射角とスピン量の安定につながっている(写真は2021年のニチレイレディス 撮影/大澤進二)

もちろん方向性が安定しつつ飛ばせるドライバースウィングは大きな武器のひとつですが、何より大きいのは先週のゴルフ5レディス最終日、優勝も見えてプレッシャーがかかる状態でもしっかりピンを攻めてパットも決めて伸ばせたこと。

今の女子ツアーのレベルではスコアを伸ばさないと上位に行けませんから、守りに入らず攻め切ることができるのは間違いなく成長している証です。ホールアウト時点では暫定首位タイで、後続組のプレーを待つ展開も初めてだったことでしょうから、選手として一皮向ける濃い体験ができたはずです。

ただし、今週の開催コース、静ヒルズカントリークラブは全長6680ヤードのロングコース。先週に引き続き天候も芳しくなさそうなので、攻めと守りのメリハリを利かせることも重要になってきます。さらに4日間競技と長丁場ですから、そこも含めて国内女子メジャーという舞台を経験してどう対応するかに注目ですね。

またライバルとなる選手層ももちろん厚いです。目下賞金女王筆頭の稲見萌寧、小祝さくらの2選手、海外女子メジャー「全英女子オープン」に出場していた日本勢、渋野日向子、原英莉花、古江彩佳、青木瀬令奈の4選手も国内ツアーに合流してきます。とくに距離の長いコースでは渋野、原の両選手が伸びてきそうですよね。どのような展開になるか楽しみです。

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