フジクラの「スピーダーNX」、三菱ケミカルの「ディアマナPD」、グラファイトデザインの「ツアーAD UB」の3モデルが出揃った。そこで、早速プロゴルファー・中村修と堀口宜篤が比較試打を実施! それぞれどのような性能?

剛性に加えてトルクもコントロール。より設計が最適化された「スピーダーNX」

まずはスピーダーNXから見ていこう。フジクラと言えば「スピーダーエボリューション」シリーズが7代目まで続く人気モデルだったが、スピーダーNXはその後継モデル。約8年振りにブランドを刷新し、新たな技術を取り入れた設計となっている。

画像: 上からフジクラ「スピーダーNX」、グラファイトデザイン「ツアーAD UB」、三菱ケミカル「ディアマナPD」。最新カスタムシャフト3モデルをプロが比較試打!

上からフジクラ「スピーダーNX」、グラファイトデザイン「ツアーAD UB」、三菱ケミカル「ディアマナPD」。最新カスタムシャフト3モデルをプロが比較試打!

最大の特徴は、従来の「〇調子」と表現されていた剛性分布に加えて、これまでシャフト全体を通して1つの数値として表されてきた「トルク」をシャフト先端部、中間部、手元部とそれぞれ区分けしチューニングする「VTC」(バリアブル・トルク・コア)という新テクノロジー。

画像: フジクラ「スピーダーNX」(写真は50 Sモデル)

フジクラ「スピーダーNX」(写真は50 Sモデル)

フジクラ独自の3Dモーションキャプチャシステム「enso」の解析結果を活かして、シャフトの各部位の曲げ剛性、トルク、重量、スウィングウェートを測定し、より最適化されるように設計。スピーダーNXは中調子に設定されているが、先端と手元部のトルクを締めることで、中調子シャフトでの振りやすさや初速性能の向上、球の上げやすさも両立しているという。

ではさっそく両者の試打結果を見てみよう。なお、試打に用いたシャフトのスペックはスピーダーNX、そして後述するディアマナPD、ツアーAD UBともに長さは45.5インチ、50グラム台・Sフレックスのモデルに統一。ヘッドはテーラーメイド「SIM2マックス」ドライバーのロフト10.5度モデルを使用して行った。

【堀口のスピーダーNXの試打結果】
HS43.6m/s キャリー234Y トータル256Y 打ち出し角11.3度 ボール初速63.7m/s スピン量2560回転

【中村のスピーダーNXの試打結果】
HS45.2m/s キャリー251Y トータル276Y 打ち出し角12.9度 ボール初速66.2m/s スピン量2550回転

「非常に安定感があって、少し右に逃げたなという感触でもそこまで逃げていかないつかまりの良さもあります。かといってつかまり過ぎることもなく、自然とスウィングに対してシャフトがついてきてくれるので、振っていてストレスがないですね」(堀口)

中村も「つかまりやすさもありつつ、先端の剛性もしっかりありますね」と評価。

「先端部はしっかりしているのでインパクトでブレることはないですが、同じくフジクラの『ベンタス』シリーズに比べるとちょっとつかまりやすいでしょうか。ヘッドスピード45m/sくらいで打っても適度につかまえてくれて高さの出過ぎない、理想的なドロー弾道が打てますね」(中村)

“飛んで曲がらない”を徹底追求した「ディアマナPD」

続いては三菱ケミカルのディアマナPD。中元調子のシャフトで、高い飛距離性能とインパクト時の安定したシャフト挙動を両立させることが同モデルのコンセプト。

先端部の剛性をかなり高めることで打点のバラつきも抑えてくれつつ、そのうえでアマチュアでもスムーズに振り抜けるような設計になっているという。では両者の試打結果を見てみよう。

画像: 三菱ケミカル「ディアマナPD」(写真は60 Sモデル)

三菱ケミカル「ディアマナPD」(写真は60 Sモデル)

【堀口のディアマナPDの試打結果】
HS43.8m/s キャリー228Y トータル252Y 打ち出し角12.4度 ボール初速61.9m/s スピン量2214回転

【中村のディアマナPDの試打結果】
HS45.2m/s キャリー249Y トータル271Y 打ち出し角13.1度 ボール初速65.3m/s スピン量2426回転

「ワッグルした時点でスピーダーNXより少ししっかり感が感じられて、実際に振ってみると全然別モノです。手元側がすごくしっかりしていて、インパクトに向かってヘッド側がちゃんとしなり戻ってくれている感じですね。強い中弾道が打てて、球は左には行きにくいように感じました」(堀口)

中村も「これはたしかにしっかりしていて、叩きに行けるシャフトですね」という。

「高弾道というよりは中弾道で強く飛ばしてくれる感じですね。10.5度のヘッドですが、まったく吹け上がりませんし、スピン量も抑えられています。50グラム・Sフレックスというスペックにしてはしっかりしている印象ですね」(中村)

試打者ふたりとも打ち出しが確保されたままかなりの低スピンになっており、自分自身の出力を高められるほど飛ばせるタイプのシャフトであることがわかる。

ツアーAD DIをさらにハードに。松山英樹も採用した「ツアーAD UB」

3モデル目はグラファイトデザインのツアーAD UB。中調子に設定され、とくに先端~先中部の剛性を高めてヘッドの無駄な動きを抑えることで、現在主流となっている大型かつ高慣性モーメントヘッドの性能をさらに活かした強く叩けるインパクトが実現できるという。

画像: グラファイトデザイン「ツアーAD UB」(写真は60 Sモデル)

グラファイトデザイン「ツアーAD UB」(写真は60 Sモデル)

今夏に開催された東京オリンピックで松山英樹が実戦投入したことでも話題になった同モデル、両者の試打結果はどのようになっただろうか。

【堀口のツアーAD UBの試打結果】
HS44.3m/s キャリー241Y トータル270Y 打ち出し角11.1度 ボール初速64.6m/s スピン量1807回転

【中村のツアーAD UBの試打結果】
HS45.6m/s キャリー250Y トータル271Y 打ち出し角13.2度 ボール初速66.4m/s スピン量2603回転

「ツアーADシリーズのイメージとはちょっと違って結構ハード。今回試打した3モデルのなかでも一番しっかりしていて、50グラム・Sフレックスのスペックでも自分でつかまえに行ってちょうど良いくらいです。しっかりつかまえられると飛んでくれますが、ある程度自分のスウィングでボールをつかまえられる方向きではあると思います」(堀口)

実際、堀口はシャフトのハードさに反応してしっかりと振ったことで距離も出た。中村も堀口と同様にツアーD UBはハード目のシャフトという意見。

「振った感触は『ツアーAD DI』に非常に近いですね。DIを少しハードにした感じと言えば伝わるでしょうか。松山選手が採用したのもうなずけます。切り返しでグニャッとしなっては来ないので、そのぶんつかまりにくさはあって、軽いフェード気味の球も試打では出ました。ある程度しっかりしているぶんコントロールも利くので、ある程度叩けてドロー・フェードも打ち分ける、というゴルファーにはピッタリですね」(中村)

いずれ劣らぬ3モデル、どう選ぶ?

さて、全3モデルを打ち比べた両者の意見をまとめよう。

まず、つかまりやすさについてはNX>ディアマナ>UBの順だという。

「オートマチックにつかまえたいならスピーダーNX、ドロー・フェードを使い分けるならツアーAD UB、そして2モデルのちょうど中間にあたる性能を持っているのがディアマナPDといったところでしょうか。今回試打したのはすべて50グラム・Sフレックスでしたが、ヘッドスピード45~6m/sでも問題なく打てて、かつそれぞれ特徴が出ていましたね」(中村)

もちろん組み合わせるヘッドとの相性、そしてゴルファーごとに異なる切り返しのタイミング、スウィングのタイプなどによっても結果は変わってくることだろう。

最新カスタムシャフトはどのような性能になっていて、どれが自分に合うモデルなのか。プロ二人のインプレッションを参考にしつつ、ご自身の使うヘッドと実際に組み合わせて試打してみてほしい。

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